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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
「しかし…
橘が女だったとは…」
全く見抜けなかった、世の中あんな女が居るのかと土方ですら疑いたくなるくらいの完全な男装‥まぁ顔は女顔だとは思う。
「それに関してはわても沖田はんと共犯ですわ…」
「お前も知ってたのかっ!?」
土方はぐるりと山崎の方に向き直る…
今日は眉間にシワでは無く、純粋に驚きの表情だ。
「すんません、それに一度怪我した時に手当てしてますさかい、体見てます…」
「あぁ…
そうだったな…」
前に"鬼"に怪我を負わされた時、手当てしたのは山崎だ…
知っていて当然という所か……
「しかし今回は何故が多過ぎるな…」
何故橘は捕まったか?
何故あの鎖は破壊する事が出来なかったか?
何故敵は橘を選んだのか?
考えたらキリが無いくらい何故が多い。
「そういやぁ大丈夫だと思うが総司の方は?」
「普通に戻ってまっせ、あれ以上あの場に居て惚気話は聞きとう無いわ……」
「・・・惚気話かよ・・・」
「副長も今二人の部屋に行かん方がええ…
橘は沖田はんに抱き付いて眠ってるし、沖田はんもさり気に惚気話ばかりや‥」
山崎は先程の出来事を溜め息混じり答える。
「はぁ!?
あの二人って言うか、橘が総司に抱き付いて寝てるっ??」
温和そうだが、簡単には腹の内を出そうとしない奴なのに…
それだけ総司を信用しているって事なのか、橘も総司に惚れているのか、どちらかは分からんが……
「はぁ…
沖田はんも離す気ぃ無いし、取りあえず手当て断念して戻って来たんですわ」
「全くあいつら何時の間に……」
「橘の言う事なら、沖田はん全面的従ってしまうしなぁ、それに沖田はんを簡単に抑えられるの橘くらいしか居らへん」
「確かにその通りだ…」
だった七日間で総司はあの状態である、如何に橘の存在が大きかったか改めて実感した。
橘を総司から離しては駄目だ…本能的にそう告げている、もし完全に橘が居なくなったら、総司は今度こそ本当に暴走して止まら無くなってしまうだろう。
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