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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
「橘が女だと言う件は保留だ…
俺と総司、山崎お前以外知ってる奴は居ないんだな?」
「はい、それは太鼓判押せます」
「ならば今まで通りだ、総司の抑えにも戦力的にも橘が抜けるのは惜しい」
「分かりました」
山崎は心のどっかでほっとする、まぁそれを見越して土方を選んだのだが…
「取りあえず、わてはこれで…」
話は終わったとばかりに、山崎は屋根裏に戻って行く。
「はぁ…
昨日の残務処理まだ残っていたな…」
文机に向かい昨日の出来事で上がって来た書類に目を通す。
監察方ですら、あの惨状に泡吹いたとか……
暴走した総司の太刀筋は全く容赦がない、そこら中に肉片や首が転がっていたらしい。
自分も通路の惨状を見たが、確かに酷い有り様だった。
「やはり強力な抑えが居ないと駄目と言う事か…」
今総司が暴走したら、自分でも止められる確率はかなり低い…
橘なら一瞬で止めるらしいが…
(稽古話で‥暴走総司を一撃で気絶させたとか聞いたしな………)
橘の実力は総司以上、実は組で一番強い、それに自分並の的確な判断力…
女だからって捨てるには勿体無さ過ぎる。
「それになぁ…」
朱雀様と会津松平様まで見方に付けている、特に朱雀様とは個人的な付き合いがかなりあると見ているのだが…
多分‥朱雀様は橘を女だと知っていて此方に寄越してる節がある。
「現状維持が一番だ…」
土方はつくづくそう思った・・・・・
夕方ー
瑠衣はゆっくりと目を開ける…
(温かいなぁ…)
未だ総司の胸の中である…
「瑠衣、目覚めました?」
上からの優しい声に、自分が総司に抱き付いているのを思い出す。
「えっ…あ…朝から…ずっと…??」
「はい!」
心なしか上機嫌で弾んでいるようにに聞こえる声…
「すみません、邪魔ですよね…」
どうやら少し眠って休んだお陰で、喉の痛みと声は普通とまでは言わないが、そこそこ出る程度までには戻っているらしい。
「そんな事無いですよ、独り占めしてる気分です」
「ひ…独り占めって…」
総司は抱き締める腕を離す気は更々無いらしい。
「ずーと触れられませんでしたからね、纏めてと言う事で…」
「そ…総司………」
総司のその言葉に、ついつい脱力してしまう。
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