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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
「私としては、抱き締めたいし、触れたいし、勿論…それ以上も…」
「ば…馬鹿……」
一応自分は怪我人な筈…
何だか話が変な方向に行っている気がするのは気のせいだろうか?
「取りあえず動けないのは辛いですね」
「私は嬉しいですが」
「はぁ…
それは総司の願望でしょう…」
「ぁは…バレましたか」
無邪気に言われも……
とりあえず瑠衣は慎重に周りの気配を伺う。
「新八は夕餉で広間ですね…
後平隊士達も…」
「瑠衣?」
「最低限動けるまでに怪我の回復を図ります、前に朱雀様が総司にしたのと同じ方法です」
緑の上級の"鬼"に足に怪我を負わされた時、朱雀様は一瞬で自分の怪我を治してしまった。
「瑠衣も出来るのですか?」
「はい、ただ力の関係上完全とはいきませんが、ある程度は回復出来ます」
瑠衣はそう言い目を瞑る……
すると体全体が仄かな赤色の光に包まれ始める…
「・・・・・・・」
相変わらず綺麗だと総司は思う…
力を使っている瑠衣は、普段とは微妙に様子が違う。
何時よりこう‥柔らかい感じ?
そんな言葉が一番合うかも知れない。
暫く眺めていると、光は薄くなり消えていく・・・
「はぁーー」
溜め息を一つ吐き出し、瑠衣は漸く身を起こした。
「・・・動けましたね」
「はい、回復は半分程度ですが、背中と喉はかなり集中してやりました、話せ無いのは辛いですから」
「まぁそうですね」
瑠衣は総司から離れて自分の布団に行く…
「完全に回復するには後数日は掛かりますよ?」
「数日って…」
「今は力で無理やりですが、後は自然に任せようかと‥」
そう言って、布団の上でにこやかに笑う。
「とにかく…
総司は夕餉食べないんですか?」
「あ・・・・・」
食べて来ますと言い残し、慌てて部屋を後にする・・・
「クスッ…
本当に子供みたいなんだから…」
残された瑠衣は、部屋で一人‥暫く笑っていた・・・・・
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