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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
夜ー
瑠衣も目を覚めました事で、部屋に総司・土方・山崎が集まった。
「で、一体どういう経緯なんだ??」
土方の一言で長い夜が始まる。
瑠衣は布団に上半身だけ起こして座り、その両脇に三人が胡座を掻いて座っている。
「…何処から話ましょうか…
沖田先生、前に斎藤さん達と交代制で通常隊務を行った時、女の方が一人浪士達に絡まれ裏路地へ連れて行かれ人質に取られる…
そんな一件がありましたよね?」
総司は暫く考えて…
「ありましたね、確か橘さんが脇差しを人質を取ってる浪士に投げ、私が女の方の腕を無理やり引っ張り助けた…
確かそうでしたね」
「おいおい、やり方が穏やかじゃねぇなぁー」
二人の言葉に心境複雑な土方…
「今考えると、あの時点で少しおかしいなとは思ったんです…
普通、浪士を皆斬り殺して、自分は人質に取られ、あまつさえ脇差しが自分の横を通り過ぎる…
普通の女の方だったら、気‥失うか錯乱くらいしますよね?」
「せやな…
普通の女子は斬り殺された死体すら見た事あらへんな…
錯乱まではいかなくても、気は失ってもおかしゅうない」
山崎の言葉に土方も頷く…
「しかし、その女の方は気を失う所か、自分が裏路地から連れ出して家まで送ると言ったのに、それを断り自分で帰ったんです…
そこには錯乱してる状態も無く、普通に街に消えたんです」
「「・・・・・・・」」
信じられ無いと言う顔の土方と山崎…
「その時は、不思議に思いましたが、気丈方だと思い、自分もすっかり忘れていたんです」
ふぅーと一息吐く瑠衣…
「それで?
その女と今回の一件どう関わって来る?」
土方は先を促す。
「はい、この間の非番の日に斎藤さん達巡察組と会った後、少し街を歩いていたら、その女の方に声を掛けられたんです」
少し意外そうな顔をする総司…
瑠衣はそんな総司を横目でチラリと見て話を続ける。
「始めはたわいもない話だったんですよ、助けたお礼とかそんな感じで…
ですけど往来の激しい大通りのド真ん中で何時までも話している訳にもいかないので、自分が近くの甘味処に誘ったんです」
此処までは報告通り、別段変わった事は無い…
甘味処に居たのも報告通りである。
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