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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
「もう一つ聞きてぇんだが、総司の脇差しで鎖が切れたのは何故だ?
たしかお前は一言脇差しと言ったよな?」
「前に副長に話した通り、沖田先生の脇差しは元来神社辺りに祀ってあった御神刀なんです
刀自体に力の石が付いていて、多分それで鎖の術式が切れる…
そう思ったんです」
「その術式ってやつで強化してるから鎖自体は弱いと?」
「はい、察しの通りです
護神刀の力で術式を断ち切れば、鎖自体にあまり意味は無い、そう思いました」
土方はポリポリと頭を掻く……
「しかし、今一番術式とやらが使えるのはどんな奴なんだか…」
溜め息混じりに零す土方に…
「あぁ…
朱雀様ですよ?」
「はっ???」
瑠衣に軽く言われ、一瞬茫然となる。
「だから今一番術式に詳しいのは朱雀様です…
自分が使用してる物も朱雀様からの物ですので…」
「そないなら朱雀様が術式を何とかしてくれれば大助かりやのに…」
思わず愚痴る山崎…
「はぁ…
あの方も多忙ですから…
小さな術式の反応まで一々追わないでしょう…」
瑠衣も呆れ顔である。
「まぁな…
朱雀様は朱雀様で忙しいんだろうさ‥」
「でしょうね・・・・」
「しかし高杉晋作か…
京に潜伏してるのは掴んでいるが、こんな事にまで手を出すとはな」
「次に会ったら殺します………
やられたもんは三倍返しですっ!
長州ですし、法度には触れないですよね副長?」
瑠衣の本気の怒りに顔が青くなる土方と山崎
殺気が強烈に突き刺さる。
「ま…まま待て待て…
次何時出没するか分かんねぇんだぞっ!?」
「そ…そや…
せやからその殺気は止めてくれ…」
"橘を怒らすな"
見事に定着してしまっている土方と山崎は、瑠衣の殺気を宥めようと必死だ…
「出没しなければ探してやるっ!」
ある意味総司より怖い瑠衣の本気………
と‥そんな時…
『フワーッ…』
隣に居た総司が、瑠衣をいきなり抱き締めた…
「・・・・・・・はぃっ!?」
総司の突然の行動に、不思議と瑠衣の殺気が一瞬で消える。
「土方さんも山崎さんも……
橘さんまだ怪我人なのですよ…
もう深夜ですし、今夜はこれ位でお開きにしませんか?」
怒ってるような違うような総司の発言に、二人は頷き此処で解散となる……
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