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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第5章 "誠"
空き部屋ー
胴着に着替える瑠衣、気合いを入れる為に何時もより胸のさらしをきつく巻いた
(しかし…あの沖田総司と手合わせかぁ…)
勝つ訳にもいくまい…
だからといって簡単に負ける訳にも出来ない。
(人間としているから力はだいぶ抑えられてはいるが…)
水鏡で見た沖田の実力、確かに人間離れはしている
だからといって自分が負けるとは全く思わない。
(勝たず、負けず、手加減というもの程面倒くさいものは無い…)
下手をすれば相手にバレる可能性もある…
特に沖田は感が良さそうだ…
袴をキュッと締め、決意したように顔を上げる
(当たって砕けろだ・・・)
此処に来てから随分人間らしい考え感情を持つ自分に笑いが出る
(朱雀と言う"枷"が無いせいなのか??)
普段、自分の居る場所では、何時いかなる時でも神朱雀でなければならない…
それが当然の事で当たり前になっていた。
(開放感…こんなの久しぶりだ…昔を思い出す‥)
喜怒哀楽、感情を出していた頃も確かにあった…
ただし子供の頃の話しだが。
(考えても仕方ない行くか!!)
考えを振り切り、すっと前を向き瑠衣は空き部屋から出た・・・
所変わって道場ー
新入隊士の試験があるからと、稽古していた平隊士を土方は外に追いやった・・・
残るは幹部のみ‥
近藤・土方・山南・沖田
それに釣られ野次馬のごとく残った…
斎藤・永倉・原田・藤堂
オマケに天井裏に山崎が陣取っている
「なぁ、今度の新入り滅茶苦茶可愛いって話し…」
原田は永倉にひそひそ話を始める
「俺は知らん、まだ顔も見ていない」
興味があるのか無いのか永倉は全く相手にしていない
「・・・・・・・」
斎藤も永倉と同じなようだ……
「左之が勝手に思ってるだけじゃ無いの??」
藤堂も半信半疑である
「俺は今日門番してた奴に聞いたんだ!!
まるで女みたいだって!!」
土方があらか様に原田を睨んでる
「声でけぇって…」
不味いと思った永倉が原田の口を押さえ付けて黙らす仕草…
「わりぃ・・・・・」
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