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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第20章 "追"
「固まられたら厄介ですね、其方から先に始末しましょうか?」
「承知」
何時も通りに鏡を見ながら歩き出す二人…
あの捕まった一件の後、少々精神的に不安定になったものの、総司のお陰で今では完全に復活している。
暫く歩くと"鬼"共の気配が分かる…
裏路地の中だ。
「瑠衣行きますよ」
「承知…」
総司と瑠衣は刀を抜き裏路地に入って行く…
『ギギギ…』
正面に二匹、屋根の上に一匹、何時も通りと言えば何時も通りの光景ではある。
「総司、上の"鬼"は自分が…」
「では私は下の二匹を相手にしますね…」
二手に分かれ一気に"鬼"の始末を始めた…
瑠衣は屋根の上に飛び乗り腕を一斬り…
総司はそのまま前へ走り出し、首元を斬り落とし、そのまま次の"鬼"の足、弁慶の泣きどころを一突きにする。
どれも心の臓を一撃、水晶が三つ地面に転がる…
「ふぅー
一件終了っと」
瑠衣は軽やかに屋根の上から降りてくる。
「次行きますか?」
水晶の回収を済ませた総司も、鏡を見て次の場所を探している。
「そうですね、夜は長いですから」
二人は次の"鬼"の場所に向けて歩き出した・・・
「こんな時間に俺を呼び出すなんて何の用だ?」
京の街の橋の下、橋桁付近に、高杉は忍装束の女と共に居た。
「一つ…
手を貸しましょうと思って…
くすくす…」
とある筋から紹介された女忍、あまり好印象ではない…
逆に不気味な物を感じる…
だが腕は確か、あの女をあっさり捕まえる手腕は認めざる負えない。
「手を貸す?
どういう了見だ??」
「あなたにとって悪い話しでは無いと思いますが?」
「内容次第だな…」
女忍は懐から二つの物を取り出した。
「一つはお守り…
結界符が入っている…
銃でも刀でも弾く…
もう一つは相手を拘束する結界符…
相手の懐にでも入れれば、体の動きをある程度封じる事が出来る」
手には黒い守り袋と、黒い色で書かれた文字が並んでいる一枚の紙…
「これを俺に使えと?」
高杉は少々不機嫌顔で答えるが、女忍は全く構っていない様子。
「どう使うかは自由、身を守る事も出来るし、欲しい相手を拘束する事も出来る」
此奴は俺の心を読んででもいるのか?
そう思わずにはいられない。
「…分かった、何に使おうが俺の自由なんだな?」