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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第20章 "追"
「くすくす…えぇ…」
女忍は高杉に守り袋と紙の符を渡した。
「符の発動はあなた次第、相手を拘束したいと思ったら勝手に発動するでしょう」
「そうか…」
高杉は守り袋と紙の符を懐に仕舞う。
「では私はこれで…」
女忍は音も無く消える…
「ふん…
本当に効くのかよ…」
懐の二つの物を怪しみながらも、高杉も夜の闇に消えた・・・
明け方ー
「今日はいつになく収穫がありましたねぇーー」
屯所への帰り道、ご機嫌な総司を後目に瑠衣は何事も無い様に横を歩く。
「収穫って…
栗や茸じゃ無いんですから…」
溜め息混じりにぼやく…
「探して見つけて拾って来る、収穫に近いじゃないですかぁー!」
「・・・・・確かに………」
総司の言葉に反論の仕様がない、全くもってその通り過ぎる。
「ん?
瑠衣何か怒ってませんか??」
「自分は普通ですよ」
「そうですかぁ??」
「普通ですって…」
食い下がる総司を軽く無視して歩き続ける。
(はぁ…
最近停滞気味だなぁ)
"鬼"の始末は兎も角、術石が見つからない。
始めて見付けた以来何の進展も無いのだ。
あの場所を起点に色々探し回ったが当たりは全く無し…
当代様と一族も必死に探してるが、手掛かり一つ出て来ない…
(何処かで方向性間違っているのか…
それとももっと遠くか…
それと…)
瑠衣は懐と腰の袋を見る…
(術石は後一回分しか残って無い、符は後三回…
手持ち無くなるのはキツいなぁ…)
こんな事になるとは思って無かったので、最低限の数しか所持しなかった。
それに術石の一組は、屯所全体の結界陣を作るのに使用した…
今、屯所の周りには結界陣が張られており、低級の"鬼"では入って来れない、勿論間者が侵入しようとしても引っかかる。
そんな訳で術式の手持ちが心細い。
「瑠衣!!」
突然大声で呼ばれて、流石に驚いた。
「ど…
どうしましたか?」
「もう直ぐ屯所ですよ?」
「えっ!?
あぁ‥そうですね」
どうやら恒例の考えに没頭していて、周りが見えなくなっていたらしい…
「考え過ぎですよ瑠衣」
「あー
そうですね、屯所ではなるべく自粛します……」
そう言いながら、二人は屯所の中に入って行った・・・・・