この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第20章 "追"
「はぁーー」
自室で報告書を書いている瑠衣なのだが、ついつい溜め息が出てしまうのは仕方が無い…
「あれ、報告書が嫌でしかた?」
ノコノコと文机の側に寄って来る総司…
「報告書は馴れました…
手抜きな隊長さんのお陰様で‥!
自分の溜め息は別ですよ」
手抜きな隊長って所はしっかり強調しているが・・・
「あーえー…
報告書…
苦手なんですよぉー…
そ……
それで溜め息の原因は何です??」
居心地悪そうに頬をポリポリ掻いている…
困った時の総司の癖。
苦手で済んだら隊長は要らん。
「あぁ…
符と石が底尽きそうなんです…
新たに作るにしても材料と場所の確保が大変なんですよ」
「あの結界を作るやつですか?
朱雀様が作ったのでは??」
ふぅーっと瑠衣はもう一度溜め息を吐いて、筆を止めて振り返った。
「建て前ですよあれは…
本当の所、あの符と石は自分で作った物です
まぁ‥朱雀様が作ったで間違いは無いでしょう?」
疑問を疑問で返してやる、瑠衣のちょっとした意地悪だ(報告書の恨みです)…
「まぁ…
嘘は無いんですよねぇ、朱雀様が作ったのには間違いが無いのですから…
ただどの朱雀様が作ったかは別ですが‥」
「そういう事です…
材料は頼んで分けて貰うとして、問題は場所ですね…
まさか外宮で朱雀様印の符や石を、自分が作る訳にはいきませんから」
「…瑠衣も微妙に大変ですね…」
また筆を取り報告書の続きを書き始める…
ダラダラやってても終わらない、かと言って書き上げ無いと寝れない。
「大変と思うなら、報告書と書類整理を此方に回さないで欲しいです」
「あー
それは別としてぇ…」
「ほぉ…
別ですか…」
久々に瑠衣の背中に鬼のような般若が見える‥ような気がする・・・・・・
「ま…待って…
じ…じゃぁ交代制で手を打ちませんか?」
流石の総司も焦り顔を見せる
こういう時の瑠衣は本気で怖い…
鬼の土方と良い勝負になるのは間違いない……
「交代制ねぇ…
まぁ良いでしょう…
しかし総司、約束破ったら……
どうなるか分かっていますね?」
「ど…
どうなるでしょう…」
一抹の不安が過ぎる……
「道場で‥皆の居る前で、完膚なきまでに叩きのめしますので覚悟しといて下さい!」
・