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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第20章 "追"


「まぁ…
迷わない様にします…」

言葉無くうなだれる総司……

「総司、迷い道と言っても外の道とは限らないんですよ、己の道、心の道、選択の道…
道でも色々な意味があるんです」

「へー」

道でも色々ある、瑠衣のその説明に感心する。

「まっ八卦鏡とはこんな物です、多分あまり使う事は無いと思いますよ」

八卦鏡を布で包み袋に入れる。

「後は…
此も、此も、今直ぐには使わないですね…」

朱雀様の純粋な力が詰まっている力の玉(前に暴走した瑠衣に朱雀様が使用した物)
力の石・人型代符…
直ぐに使わない物をドンドンと分けて仕舞っていく。


「必要なのは…
結界符と結界石…」

瑠衣と同じ八陣結界用の符と石符が十組・石が五組ある。

「これは直ぐ使えますね」

石を小さな袋に更に分けていく…

「そう言えば符は、前に私も一組頂きましたよね?」

「えぇ、符の方は比較的誰でも扱えるので…
石の方が強力ですが扱いが難しいんです」

「なる程…」

一通り分けて仕舞い、次はまだ加工してない符用の紙と石を見る。

どちらも百枚・百個ある…
それを一つづつ傷や汚れがないか確認していく。


「結構地味な作業ですねぇ…」

「傷や汚れがあると効力が落ちますので、手は抜けません」

「そういうものなのですか…」

瑠衣は隊務ギリギリまで符紙と石の確認していた・・・



"迷い道に注意"…


その占いが本当に現実になるとは、この時総司は思ってもいなかった…







夜の巡察ー


何時も通り鏡を頼りに道を歩いている。

「瑠衣、今日は何時もより少なく無いですか?」

鏡を確認しながら考える総司と瑠衣。

「そうですね…
映ってるのは二匹、それも逆方向に一匹づつ…」

「えぇ、少な過ぎますね…」

「自分もそう思います…
居ない‥という訳では無いのに…」

「どちらから行きます?」

「近く…
からですか…」

不思議な感じがしながらも、街中を歩き出す二人。

暫く歩き"鬼"を見付けた…
その体は細く足は長い。


「自分が行きますよ」

そう言って朱桜刀を引き抜く…
その音に"鬼"が気付いた!!


『ギギギギ…シャー!!』

"鬼"は瑠衣達とは反対方向に走り出す…!!

その足の速さは、人間の足の速さを遥かに超えている!
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