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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第20章 "追"
「ちっ…
総司後を追います!!」
朱桜刀を鞘に戻し、屋根の上に飛び乗り"鬼"を追い始める。
「瑠衣っ!!」
総司が叫んだが、既に瑠衣の姿は遥か彼方だ。
「全く……」
鏡を見ると光は凄い速さで移動している、このままでは鏡の範囲の外に出てしまう。
総司は急いで光の反応を追いかけ始めた…
瑠衣は屋根の上を走る…
"鬼"との距離がなかなか縮まない、"神足"を使っているのにだ…
「くそっ、何て速いんだ!!」
"鬼"も屋根の上を走る…
結界符で動きを止めようにも、もう少し近づかないと効果は無い。
「持久戦になりそうだな…」
はたして"鬼"に体力があるのか無いのかは疑問だが……
四半刻は屋根伝いに走ってるとは思う…
だが一向に距離が縮まらない…
『"鬼"と鬼ごっこ状態…』
「全くいい冗談だ…」
瑠衣は呆れ半分に言い捨てる、言った自分にも呆れているが……
何処まで追っても距離が縮まら無く、無意味にずっと走り回っている。
「……
いい加減嫌になって来た…」
思いっきり不機嫌ですと顔に出ているのだが、本人は全く気が付いていない様子…
「さて…
どうやって止めるか…
向こうも、まだまだ体力ありそうだしな…」
腰の袋から封印石を一つだけ取り出した。
「崩してしまうが仕方が無いな…」
瑠衣は"鬼"の走る軌道を見定めて、半ばやけくそ半分に力一杯石を投げ付けた!!
『ギャャャー!!』
渾身の力で投げた石は見事に"鬼"に命中…
低級ならば石一つで動きは捕れない。
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