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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第20章 "追"


別に毎回八個全て使う事は無い、一つ一つでも十分に封印の効果が発揮する様に結界石は出来ている…

瑠衣は漸く足を止め、ゆっくりと"鬼"に近づいて行く。


「全く……
良い運動になった」

溜め息と共に朱桜刀を引き抜く…
そして"鬼"の右目と腹に、一突きづつ刀を刺した。


『ギググァー!!』


水晶を空中で手に取る、そして使用した封印石を朱桜刀で破壊。

「ふぅー
後始末終了っと…
そう言えば総司とかなり離れたな…」

"鬼"の反応が消えれば、総司は追って来られない。

「さて…
どうしよう…」

鏡を見ても次の"鬼"の反応は無い。

「とりあえず降りるか」

瑠衣は屋根の上から飛び降りる…
どうやら何処かの裏路地の一本らしい。


「…
自分が迷ったか!?」

人に占っておいて自分が迷うなんて…

もう一度屋根の上とも思ったが、別段不都合は無いと判断し‥と言うかいい加減屋根の上を走るのが飽きたというのか、溜め息一つ吐き表通りを探しに裏路地を歩き始めた・・・



どのくらい歩いたのか…

どうやら自分はかなり深い裏路地に入って仕舞っていたらしい。

月明かりだけで道を探すのも苦労である…
当ても無く細い道を歩く…


 『ピクッ』


瑠衣は人の気配に立ち止まった。


(こんな裏路地に人?
それも一人…)


気配を消し様子を伺う…

「・・・・・・・!?」

そこに現れたのは高杉晋作!!

幕府としては、長州を‥高杉を敵視している訳で、堂々と表を歩けず裏路地を歩いて移動していると言った所か。

瑠衣は完全に気配を消し、音を立てないように刀を抜く…

高杉は何も知らずに此方に向かって歩いて来る…


(殺す事は出来ない…
だが半殺しくらいは良いだろう…)


この間の恨みもあるが…
高杉を足留めすれば、この先の歴史が普通に戻る可能性もあるのだ。


(歪みは無い事に越した事は無い…)


高杉には何処か‥歴史には無い微かな歪みを感じる、それはあの女忍と接触を持っているせいなのか、はたまた違う理由なのか??

その間にも高杉は此方に近づく……


「高杉晋作………」

瑠衣は高杉の前に、抜き身の刀を片手に姿を現した。


「ほぉ、意外な奴が居たもんだ」

高杉は相変わらず飄々とした雰囲気で瑠衣を睨む。
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