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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第20章 "追"


瑠衣は俯いて小さく言葉を発する…

「"朱桜刀よ…我との契約…その力…今此処に……真の姿を現せ…!!"」

瑠衣の言葉と共に、総司が握り締めいる朱桜刀は仄かに光始め、刀身には文字が浮かび上がり、赤色をより強くする…


瑠衣は渾身の力で叫ぶ!!

「総司っ!!
今ならその刀で高杉の結界が破れますっ!!!!!」

「・・・!!」

総司はハッとして、高杉に向けて走り出す!!

そして朱桜刀を上段から振り下ろした!!


『パ――――――――ン!!』


高杉の黒い結界が破れ、その守り袋事霧散して消えて無くなってしまう…

「はぁーっ!!」

総司は勢いそのままに刀を横に‥高杉に振った!!


『パキ――ン!!』


総司の一撃を刀で受け止めた筈の高杉の刀は、真っ二つに折れる!!

今の‥本来の姿を現した朱桜刀では普通の刀は紙も同然、簡単に刀だろうが何だろうが破壊してしまう。


「!!??
なっ…???」

高杉も信じられない顔で自分の刀を見る…

しかし直ぐに不利なのを理解し、懐から煙り玉を取り出し地面に投げたっ!!


『ボワッ!!』



「くっ…」

「ちっ…」

この狭い路地裏で煙り玉は効果抜群で、辺り一面煙りに覆われている間に高杉の姿は忽然と消えていた。


「逃がしたか…
くそっ…」

「また、逃げられました…」

兎にも角にも高杉を追った所で、この迷路みたいな裏路地では無駄な事である。


「橘っ!!」

動けない瑠衣に気が付き、土方は瑠衣に近寄る、総司もその後に続く…


「大丈夫か??」

「副長…腰の…近くにある…お札…取って貰えませんか?」

瑠衣に言われて、土方は腰にくっ付いているお札に気が付いた。

「これか?」

赤黒い文字で書かれた不気味な札の紙…

土方はそーっと手を伸ばしお札を取る・・・
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