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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第20章 "追"


普通ならば壊しても良いから奪いたいだろうな…
ついそんな危険な事を思ってしまう…


「兎に角……
本当に寝ましょうか」

「はい!」

相変わらず総司の胸の中で、瑠衣はスヤスヤ眠ってしまう。


(はぁ…
先が心配ですねぇー)


そう思いながらも、瑠衣の体の温かさに勝てず総司も眠ってしまった・・・








昼間土方の部屋に乱入した総司…


「はぁー・・・」

何時になく落ち込んでいる様だ。


「なんだ?
惚気なら聞かんぞ…」

土方は煙管を片手に書類を眺めている。

「土方さ~ん・・・・・・・・・」

総司は半涙目で土方を見る…

「ちっ…
たくっ何があった?」

頭をポリポリ掻ながら煙管を吹かす…

「あの天然ぶり何とかして下さいよぉー!!
あんなのだから高杉なんかに狙われるんですよぉー」

明け方の出来事を思い出し、つくづく瑠衣の天然をどうにかしないとと本気で思う総司。


「天然って…
鈍感のお前に其処まで言わせるとは相当だなぁー」

ニヤリと笑って総司を見る。

「鈍感って…
私の事ですかぁー!?」

「お前以外誰がいる…
まぁ橘は思慮深いし腕も立つ、気を許した奴以外にそう簡単に天然振りを発揮するとは思えん」

また煙管を吹かす…


「私は良いですよっ!!
ですけど予想外の行動には驚かされますよぉー」


(今朝の一件は此方が焦りましたからね…)


「やっぱりお前惚気だろっ!」

「違いますって…
どうも‥瑠衣は女としての部分は無自覚なのですよ…
子供の頃から男らしく教育されたようで…」

「そっちか…
はぁ、俺でさえ気づかないくらいに、見事な男っぷりだからなぁ…
今更女の所作心構えなんぞ教えたって無駄だろうさ」

「はぁー
そこが問題なのですよね…
自覚が無いくらい怖い事は無いって、思い知りましたよ…」

「自覚なぁー
お前とそんな関係になってるなら、全く無い訳でもないだろ?」

「それは…
そうですが…」

「まっ、総司お前限定だろうがな」

「はぁ…」

確かに橘が何処か無自覚なのは理解出来る、今朝の高杉の一件…

あの後のあんな姿を見せられたら、つくづくそう思わせる。
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