この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第21章 "術"

「んっ…」
目が覚めると夕方を少し経った時間である。
前を見ると、既に陣形は消え、結界符と結界石が出来上がっている。
「あぁ…
眠っている最中に出来上がりましたか」
瑠衣は総司に気を使いつつ、そっと岩から離れた。
「んんっ…」
でも、どうやら総司を起こしてしまった様子。
瑠衣は符と石の確認を始めた…
(石は…
問題無い全て綺麗に色が入っている、符は…
此方も問題無い…)
符を八枚重ねて己の髪で封をしていく…
八十八枚十一組全て分け、終わると袋にしまい、石の方に取り掛かる…
これも八つ一組にして袋に入れていく。
(四つあまり…
個別に使うか…)
最後の四つを袋に入れて、次は十枚の符を見る…
(術式は間違って無い、後は渡すだけ)
十枚は土方から頼まれた"鬼"用の符だ。
そして最後の二枚…
(使う事があるかな?)
そう思いながらしまってしまう。
使った皿と筆は処分しなければならない。
皿と筆を少し離れた場所に置き、火打ち石で火を点ける…
その火に指先で触れて力を送る…
自分の力で火を点ければ良いのだが、此処は極力無駄な力は使いたくない…
火は赤から青、そして白へと色を変えた…
炎が消えた時には、皿と筆は跡形も残って無かった。
「やっと終わりましたよ」
ずっと成り行きを見ていた総司に声を掛ける…
「みたいですね、かなりの量があったのですねぇ」
「えぇ…
どちらも百づつありましたから」
「何か意外です」
「どうしてですか??」
総司の言葉に、瑠衣は不思議そうに首を傾げた。
・

