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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第21章 "術"

「もっと地味に一枚づつ書くとか、逆に一瞬で出来上がるものかと思っていました」
「地味‥一瞬………」
総司の言葉に、つい耐えきれなくて笑い声を上げてしまう。
「そんなに笑わなくても良いでしょう……」
頬を膨らませて、むすっとしている総司…
そんな総司を見て更に笑ってしまう。
「クスクス…
ご‥ごめんなさい…
クスクス…
地味なんて言われるとは思わなかったから…
クスクス……」
一度笑い出したら止まらない…
「だ…
だってそう思ってたのですから…
あぁー
そんなに笑わないで下さいよぉー!」
「くす…
た…確かに数が少ない時は、一枚づつ書きますね…
後、急に必要になった時とか…
ですが一瞬は無理です、術を少しずつ入れていくので…
一瞬で入れたら、石が壊れるか符が霧散してしまいます」
やっと笑いが収まり真面目に答える瑠衣。
「では、その姿でやる理由は?」
「この姿の方が力が安定するからです
何時もの姿でも出来ますが、やはり不安定になって失敗する可能性があったので…
やはり‥この姿は嫌ですか?」
総司は真面目に瑠衣の前に立ち、その目を見る…
何時もならば多少瑠衣の方が背が低い為、見下ろす感じになってしまうのだが、この姿の時は自分とほぼ同じくらいの高さになる。
瑠衣も真面目に総司の目を見詰める。
「私は此方の姿の瑠衣も好きですよ‥凄く綺麗です」
そんな言葉に瑠衣の顔が仄かに赤くなる…
「あ…
あまりこの姿で、そんな事を言われた事が無いので…
かなり恥ずかしいです………」
この世の中で朱雀様に好きですなんて言える人間は、総司しか居ない…
目を見てはっきりと言われると、流石に動揺を隠し切れない。
総司は瑠衣の頬に触れる…
「本当に…
好きですよ私は…
他人がどう言おうが、知った事ではありません…
私にとって、どちらの姿も瑠衣には変わりありませんから…」
頬に触れる手が温かい…
「…総司…
本当にそんな事を言うのは、総司くらいですよ」
「良いのですよ、私は私ですから、瑠衣は瑠衣でしょう、それと変わりありませんよ」
人斬りと呼ばれても、何時も屯所でほのぼのしてるのも、総司には変わらない。
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