この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第21章 "術"

「生き残ったら倍返しにしてやるよっ!!」
「ふんっ、やれるものならやって見な!
その時は高杉晋作お前の最後だがな…」
そう言い残し瑠衣はその場を去った。
「たくっ…
ツイて無いぜ…」
腕の傷からは血が地面まで流れ落ち、体は動かない‥
このままでは本当に不味い。
「糞っ、死ぬ前に犯しとけば良かったぜ」
憎まれ口を叩きなからも、どうしたものかと考える高杉だった。
「総司やっと追い付きましたか」
高杉とのやり取りの場所から少し離れた所で、瑠衣は総司と合流した。
「瑠衣、何でも無いですか?」
総司も瑠衣の姿を見て一安心するが……
警戒心を持って対峙する時は、瑠衣には一分の隙も無い‥分かっているが、心配なのは心配なのだ。
「はい、しっかり倍返ししときましたー」
瑠衣はそう言ってにっこり笑う。
「…倍返しですか…」
「はい!」
あの程度の傷では、血が流れ過ぎたら暫く動けないが、死ぬ程では無い…
それに高杉にはああ言ったが、あの符は最大一時半で効果は切れる。
つまり、死なない程度にギリギリの手加減をしていたのだ。
(別に自分が手を掛けなくても、勝手に労咳で死ぬ筈だし…)
労咳になる手助けなら、幾らでもしてやるが、悔しいが殺す事は出来ない…
掟に引っかかってしまう。
「あぁ総司、向こうでまだ面白いものが見れますよ?」
「面白いもの??」
こんな時に面白いもの?
総司は狐に摘ままれたような、不思議な顔をしてしまう。
「えぇ、動けない高杉晋作‥クスクス…」
流石の総司も、驚き目を丸くしている。
・

