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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第21章 "術"

「だから、この間の逆ですよ、自分の符の中から、金縛りの符を高杉に貼り付けたんです」
流石に高杉じゃ無いんですから、それ以上変な事はしませんけど…
瑠衣はそう言い笑う。
(・・・・ご愁傷様・・・)
敵とは思いながらも、総司は思わず心の中で呟いてしまう・・・
「見に行きますか?」
「いえ、これ以上刺激しても不味いですし、手を出せば法度に触れますしねぇ」
"私闘を禁ずる"
法度の一つだ…
瑠衣の行為でもギリギリなのに、自分が出たら確実に高杉を殺してしまう。
「そうですね、符は時が経てば霧散しますから証拠は残りません」
「では、ほおって置いて帰りましょう」
「はい」
高杉が居る場所とは別の道を通って、二人は屯所を目指す事にした・・・
そろそろ屯所に着こうかと思う頃に、瑠衣は突如話出した。
「総司、今日あった事は秘密ですよ、勿論高杉の事も…」
唇に指を一本付け、秘密という仕草をする。
「分かっていますよ、と言うより話せませんねぇ」
朱雀様の符と石作りに付き合い、更に自分の本能のままに瑠衣を抱き、トドメに高杉に手を出した…
土方に話したものなら、一体どうなる事やら………
多分、有り得ない話の連続の筈である…
普通に考えていたら頭が追いつかない…筈・・・
「話せませんね普通」
瑠衣も笑いながら同意している…
自分が朱雀だという時点で、普通の者なら混乱するだろうな‥
そう思う。
更に高杉との一件、使う事があるか分からない金縛りの符、符紙が二枚余ったので、気まぐれに作った。
まさか直ぐに使う事になるとは…
瑠衣は可笑しくてたまらない‥
確かに高杉を目的で作ったが、こうも上手く高杉に遭遇するとは、自分でも思っていなかったから………
「屯所に戻り朝になってから、副長に符を渡します‥
まぁ……
今日の外出は、符を取りに行ったとでも言っておききましょうか?」
「それが一番安全策ですねぇ、土方さんも符を取りに行ったと言えば口を挟めませんしね」
「クスッ‥
そういう事です」
しっかりと口裏合わせをし、総司と瑠衣は屯所内に入る・・・・・
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