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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第22章 "罠"

『ザシュ…グサッ…』
何事も無く、ほぼ呆気なく終わらせる総司と瑠衣、この程度では既に相手にもならない。
「さっ、次です次!」
瑠衣は刀を収め次に向かって歩き出た・・・
暫く前を歩いていた瑠衣だったが、突如歩みを止めて、鏡を睨んでいる…
「・・・・・
おかしいですね、"鬼"の反応が六匹集中している場所があります」
瑠衣の言葉に総司も眉を潜めた‥
「まさか‥
また、罠という可能性がありますか…」
「自分もその可能性が高いかと…」
顔を見合わせ、かなり警戒しながら進む二人…
「瑠衣、"鬼"の他の気配はどうです?」
気配読みは、自分より瑠衣の方が遥かに上だ…
「・・・
無い‥ですね、それとも消しているか…」
瑠衣に気付かせ無いのならば相当の手練れだ、罠‥それも視野に入れ"鬼"に接近する。
「一人三匹‥良いですね」
「承知」
二人は刀を抜き、"鬼"に向かって走り出た!!
『ギギギ・・・グアー』
一斉に此方を振り向く"鬼"達、相変わらず本能のままに此方へと襲って来る。
『ジュシャ…ドスッ…』
出会い様に次々倒していく総司と瑠衣、だが今の瑠衣は何時もの"神足"も"神撃"も使ってはいない、恐らく様子見をしている‥そう思う。
「ふんっっ!!」
『シュン…ザシュ…ザシュ』
ごく普通の構えから、瑠衣は次々と"鬼"を倒していく、この程度ならば普通の力量で十分勝てる範囲だ。
『ドスッ!』
総司が最後の一匹を倒し"鬼"退治は意図も簡単に終わる………が!!
「・・・・・・・居たっ!!」
瑠衣が新たな気配に気付き、急に家の隅の死角に走る!
「このっ!!」
そのままの勢いで、抜き身の刀を横払いで振った!!
『キ――――ンッ』
刃物がぶつかる音が辺りに木霊し、物陰に居た忍が姿を表す…
総司も忍とその武器を見て驚いている…
其処には男の忍が一人…
それも両手には、あの円月輪を所持している。
「やはり仲間が居たか…」
瑠衣は慎重に忍と間合いを取りながら、一度総司と合流した。
「総司、あの武器は投げても、一度飛び回って、もう一度此方に戻って来ます、気を付けて!」
「分かりました…」

