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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第6章 "同"


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あれは朱雀の外宮で水鏡を使った後‥
全てを片付け終わり部屋から出ようとした時、当代様に腕を掴まれた。


「だいぶ消耗してるな?」

"時渡り"から始まって、瑠璃との契約そして水鏡の使用…
仕方がないとはいえ力の使う事を立て続けに施行したのは確かである。


当代様は握っていた腕を思い切り引っ張って、自分を胸の中へ寄せた…


「・・・当代様?」

何事かと顔を上げて当代様を見ようとした瞬間、当代様に口付けされていた…

「・・んっ・・・・」

何度も角度を変え、執拗に唇が押し付けられる…

「と…当代…さま…んっ・・」

理由は分かっている力の補給・・・
当代様程になると口付けだけでも力を吸収出来るし渡す事も簡単に出来る。


「・・・あ・・はぁ・・・」

呼吸が苦しくなり微かに唇が開いた所に当代様の舌が忍び込んで来た‥

歯列をなぞり逃げていた舌が捕らえられ絡められ‥どちらとも解らぬくらいに舌は絡み合い更に深くと当代様の舌が自分の舌の全てを絡み取り熱さに口内全てを支配されている感覚に陥る…


・・・長いとも短いとも言えない口付け…

存分に堪能した当代様はゆっくりと唇を離した‥互いの唇と唇に銀色の水糸を残しながら……


「…少しは楽になったか?」

そう、当代様は口付けで力を分けてくれたのである

「申し訳御座いません…」

何と言っていいのか分からず、瑠衣は当代様の顔が見えないように下を向いた


「気にする必要は無い、我らにとって至極当たり前の事であろう」

その言葉にビクッと肩が震える、確かにそうだ"裏の儀式"で何度もしている事・・・

だが自分にも矜持がある
けして男共に口付けだけはさせなかった一度もだ


「・・・そうですね」

「まだ足りぬか?」

面白そうに当代様は言うのに瑠衣は顔を横に振る‥

「滅相も御座いません、十分補給させて頂きました」

これ以上は勘弁してほしい、瑠衣のぶちまけの本音である。


「そうか、足りなくなったらまた来い、幾らでも分けてやるぞ?」

そう言い残し当代様は瑠衣を解放しフッッと笑い部屋を出て行った・・・



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