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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第22章 "罠"


昼近くになる頃なのか、瑠衣は漸く目が覚めた……


「クスッ、おはよう瑠衣」

先に目を覚ましていた総司が、瑠衣を抱き締めながら耳元で優しく囁く……


「…………」

総司のその仕草に、夜中中あられもなく激しい乱れ方をした自分を思い出してしまう…


「お…
おはよう総司・・・・」

顔を赤くして俯くと、体中至る所に総司の痕がある……
更に恥ずかしくなり、総司を見ていられず、つい布団に潜ってしまった。


「瑠衣、どうかしましたか?」

「…
恥ずかしいです………」

「クスッ、薬のせいですよ…ね?」

総司は瑠衣を布団から引っ張り出して、その情事の痕だらけの裸体を、そっと抱き締める…

「ですけど…
やっぱり恥ずかしい…………」

「そんな仕草見せないで下さい、また襲いたくなります」

「そっ…
総司っ…!!」

夜中の激しい行為の為に体中が怠い‥
薬は完全に抜けたが、総司の言葉は別の意味で薬と同じ効果があると思う………


「冗談ですよ、程ほどにしないと歩けませんからねぇー」

「ばかぁーー!」

こうして行為の後の瑠衣をからかうのも、また楽しい…

こんな姿や言葉は、こんな時しか出て来ない、総司の密やかな楽しみだったりする。


「今日は非番ですし、届けも出してますから、二人でゆっくりしましょう?」

「う…うん……」

お互い裸のまま…

布団の中で瑠衣がたわいのない会話をしたり、総司がからかって来たり、でも総司はずっと瑠衣を抱き締めて離さない。

瑠衣もそれで良いなと思う、お互い好きな者どうし触れ合い、楽しく会話をしたり、そんなたわいの無い事に幸せという感情がある自分に気づいた。


(幸せかぁ…
自分には一生縁の無い言葉だと思ってたなぁ…)


「どうかしましたか?」

また何かを考えているのを悟り、総司は瑠衣に問い掛けて見る…

こういう時の瑠衣は、あまり隠し事はしない‥そう知っているから……


「え…あ…
幸せだなって…
自分にこんな感情もあったんですね」

「幸せですか‥
私は瑠衣と居れば十分幸せですけどねー」

此処に至り総司の‥完全なる惚気‥
瑠衣も別段文句は言わない、なにせ二人きりなのだから……


「私も同じです、総司とこうして居るだけで幸だと実感出来るんです」

総司の温もりも…

総司の笑顔も…

総司の話も…

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