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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第22章 "罠"
小さな事が幸せに繋がる、それは全て総司が教えてくれた。
嬉しい・楽しい・悲しい・愛しい・不安・怒り・幸せ・切ない・そんな普通の感情も全て…
前に華因に変わったと言われたのは多分この事だろう、今ならばはっきり分かる。
「本当に私は無感情だったんですね‥
最近つくづく思い知りました」
「今の瑠衣は感情豊かですよ、見違える程に…」
総司はゆっくりと髪を撫でてくれる、そろそろ癖になっているらしい。
「全て総司が教えてくれたんですよ、前に華因に変わったと言われましたが、今になってやっと理解出来ましたし…」
「華‥
私が言ってはいけないのですよね??
月詠さんは感情豊かと言うより、感情有り過ぎでは有りませんか?」
昨日の華因のあの行動を見れば、誰でもそう思うだろう・・・
「あぁ…
名‥ですか、確かに‥出来る事ならば月詠と…
真名は縛るものでもありますから」
「・・・
分かりました…
それで月詠さんの話ですが……」
相変わらず余計な事は無視してくれる総司が有り難い…
「はぁ…
あれが本来なんですよ‥
自由奔放とでも言いますが…
普通は目に見えませんが、神様なんて割と自由奔放で我が儘なんです‥
ただ基本的に人間には無関心なだけ・・・」
「瑠衣は違いますよね??」
「私の場合は目に見えていますから…」
瑠衣はクスクスと本当に楽しそうに、そして可笑しそうに笑う。
「瑠衣、話は変わりますが‥
私の毒を解毒した時、一体何をしたのですか?」
あの時、瑠衣の話を聞くのが精一杯で、瑠衣がどんな行動をしたのかは記憶がかなり曖昧だ、確か‥何か飲まされたのは覚えているのだが。
「あぁ…
お酒に私の血を一滴‥
私の血には力が有りますので、お酒で薄めて飲ませました‥
本当はかなり危険な事だったんですが………」
「危険?」
「私の血は普通の人には力が強過ぎるんです、解毒にもなりますが、劇薬にもなってしまう…
あの時は総司を信じての賭だった…
前に毎日私の力を流していたので免疫が出来ているのを信じてです」
複雑そうな顔をして総司の顔を見る、あの時は本当に苦渋の決断だった。
「そんなに凄いのですか??」
「そうですね‥
例えるのならば、血一滴で京の街の三割程度は火の海に出来ます」
「・・・・・・」
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