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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第22章 "罠"
総司も京の三割など言われて、流石に顔が青くなって来る…
「普通の人間ならば間違いなく…
総司は私の力や体、それに普段一緒に居るので免疫力が高いと、私もギリギリまで迷ったんです…
ですけど、あのままでは結果は目に見えてましたから賭たんです」
「私が耐えられると…?」
「はい…
相当な苦しみだったでしょう‥すみません」
あの痛みは尋常じゃなかった筈だ、其処には触れず、ただ聞いて来るだけの総司の頬に触れ辛そうな顔をしてしまう。
「いいえ、そのお陰で助かったのですから、瑠衣を責める気はありません、寧ろ感謝しないといけませんね」
触れられた頬に優しい笑みを浮かべ総司は言う…
「・・・・・ありがとう…」
瑠衣は俯いて、小さく一言だけ漏らした…
こんな時の総司には適わない、そう思いながら・・・
「さて、お腹空きましたねぇー
昨日から何も食べていませんし、瑠衣は此処で待っていて下さい、私が何か買って来ますから」
やっと瑠衣を離す気になり、布団から起き上がり総司は手早く身支度を整え始めた。
「構いませんが、総司‥甘味の山だけは勘弁して下さい」
布団の中で裸のままの瑠衣は、総司の買い癖を思い出し少々渋い顔・・・
「しませんよ、あっ‥ですけどおやつは買って来ます!」
「やっぱり・・・・・」
「クスッ、待ってて下さいね」
身支度を終え、瑠衣に短く口付けして総司は買い出しにと茶屋を出て行った。
瑠衣は漸く起き上がり、着流しを軽く羽織ってから、窓を少し開けて街を見る…
「島原なんだよね此処…」
裏通りだが、人の往来は結構ある、よく見ると此処と同じ様な茶屋が何軒も有るのが分かる。
(私には関係無い場所だと思ってたなぁー)
普段、島原自体に来る事すら余り無いのに、まさかこんな場所に自分が居るとは‥
総司に無言で連れ込まれた時は、薬のせいで余り考えずに入ったが、今考えてるとかなり恥ずかしい…
しかも、見た目上は男と男・・・
絶対に男色と間違われているのは確実である・・・
「・・・
一度女子の姿でもしてみようかな??」
自分は兎も角、総司までそういう方向で見られるのは少々辛い…
「はぁーーっ…」
瑠衣は覚悟を決めて、この場所に華因を呼び出した・・・・・