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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第22章 "罠"



(何だか自分じゃ無いみたい…)


鏡に映る自分の第一印象はそれだ…
ついつい、鏡に向かって一回転してみる、やはりどっから見ても女子姿…


「何だか不思議な感覚」

何時も着流しに二本差しの男姿ばかりなので、自分で自分に不思議な違和感を感じてしまう。



漠然とそんな事を思っていた時、総司が両手に食べ物が詰まった袋を沢山抱えて帰って来た‥が…
部屋に入った途端、その場で固まってしまった……


「えっ!?」

一瞬、入る部屋を間違えたかと思ったのだが…

「あ…総司…」

振り向いた姿にその声、何故か女子の着物だが、確かに瑠衣本人だ、見間違える筈が無い。


「…
る…瑠衣!?」

その姿に、目を丸くして瑠衣を凝視してしまう………

「あ…あの…
似合い‥ませんか?」

頬を少し赤らめ、自分を見詰める姿がまた……

「いえ…
凄く似合っています!」

思わず大声で叫んでしまったが、障子を閉める事を忘れてた事に気付き、慌てて障子を閉め、とりあえず買って来た大量の袋をその辺に置いた。


「一体どうしたのですか?
その着物は??」

「あの…
やはり男と男がこの様な場所はと思い、華因から着物を借りたんです」

良く見ると、薄紅色の着物と薄紫色の帯が淡く綺麗で、瑠衣の顔を引き立たせている、薄く引いた紅も魅力的だ。


「本当に綺麗ですよ…
私も驚くくらいに……」

「本当に?
ちょっと自信が無いんですけど…」

「それで自信が無いと言ったら、その辺の女子に殺されますよぉー!!」

「総司………」

そういう所は、普通に常識があるのか??
つい、そんな事を思ってしまったが、流石に言える雰囲気では無さそう…

「兎に角、これ食べたら外に出てみませんか?
折角女子の姿しているのですから、部屋に居るのは勿体無いです」

「けど……」

良いのだろうか…?
自分でも少々躊躇ってしまう。


「大丈夫ですよ、夜にまた此処に戻って来れば良い事ですしね」

「…はい……」

兎にも角にも腹が減ったら何とやら……
総司が買って来た大量の惣菜を食べ終えてから、二人は夕方前の街へと出る事にした・・・
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