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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第22章 "罠"
少し離れた大木の影で、一連の出来事を見ていた三人組・・・
「そ…
総司が女子と抱き合ってるよ!?」
大きい目を更に丸くして、信じられない物を見る様に固まる藤堂、此方は女子に対して全くと言っていい程免疫が無い・・・
「なんだ、上手くやってるじゃないか…
平助並に奥手だと思ってたんだけどな…」
二人の姿に一人勝手に納得する永倉…
「くー!
総司ばーかり、声が聞こえないのが残念だぜ」
巡察でも女子に人気のある総司、因みに瑠衣もだが…
それなのに更に女子の影、悔しがる原田。
三人三様、個人的思いが強い反応の仕方である………
所で……
抱き合っている二人はと言えば……
「はぁー総司…
三人付いて来てますよ………」
「左之達ですねぇー
野次馬根性というかなんと言いますか…」
どちらとも足が滑った時に気が付いた、向こうも驚いたのか気配は丸出し…
これで分からなければ、新撰組なぞやってられない。
「島原に入って撒きますか?」
「そうですねぇ、これ以上付いて来られたら、少々不味いですからね」
「クスクス、分かりました」
二人は身体を離し、また手を繋いで歩き出す・・・
神社を抜け、街中に入りドンドン歩みを進める総司と瑠衣…
勿論原田達も後を付けている。
「やっぱりしつこいです‥」
瑠衣は少々呆れて言ってしまう。
その根性をもう少し仕事で使ってくれれば…
つい本気で思ってしまうのは致し方ない・・・
「まぁ…
左之達ですからねぇー
野次馬は得意中の得意ですから・・・」
総司は諦め半分に零している……
二人は島原に入り、すぐさま裏路地へと進む。
気を見計らい、路地の隙間に隠れ完全に気配を消す…
狭い為にお互い密着状態になっているが、この際文句は言えない(総司は嬉しいが‥)。
「あれ?
見失った??」
「総司一人ならともかく女連れだぜ??」
「だが居らん…」
三人は辺りを探すが、全く総司が見付からない・・・
「左之…
撒かれたな…」
「くっそぉ-!!」
悔しがる原田、総司と瑠衣にかなう筈も無く、三人はもう暫く辺りを探してから、他の場所へと移動して行った・・・・・
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