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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第23章 "師"

裏口では隊士達と使用人が数人、一応捕まえているようだ…
「橘さん、大丈夫でしたか?」
平隊士の一人が瑠衣に話掛けて来た。
「はい大丈夫です、なにせ沖田先生ですからね」
その瞬間、瑠衣は使用人達を眺め観察する……
「まぁそうですね、隊長ならば殺しても死にはしなそうですから…」
「あははは…確かに・・・・・」
少し無理して、さも楽しそうに笑って見せる…
(大丈夫だな…)
"沖田"とワザと言ったのは、使用人の動向を見る為、総司の名は最近かなり有名だ…
何某やましい事があれば"沖田"という名を出した時点で多少なりとも動揺するだろう、瑠衣に取って人の心の動きなど手に取るように分かる。
「使用人さん達、帰しても構いませんよ」
「あ…はい」
瑠衣の言葉に、平隊士達は使用人を解放した…
副隊長で幹部‥意外と権限があったりする。
「さて、裏口は一人で良いですから、後は中の後始末をしましょう」
そう言い瑠衣は後始末の為に店の中に戻って行く、四人の平隊士も後から瑠衣を追い掛けて来る…
瑠衣は更に入り口から、平隊士を一人中に連れて戻って来た。
「さて、さっさと後始末しますかぁ-!」
土間から戸板を外し、サクサクと後始末を始める…
平隊士達も馴れた手付きで、斬り伏せた浪士達の後始末を初めている。
総司率いる一番隊、死体如きで挫けていたら務まらない・・・・・
暫く後始末に奔走した後、夕方近くにやっと屯所に戻って来た一番隊、生け捕りの二人は先に土方に渡してある。
「では、お疲れ様」
「「「お疲れ様でした-!」」」
平隊士は解散し、それぞれ話ながら屯所の中に入って行く…
瑠衣も捕り物の報告書を書かないとと思いながら、屯所の中に足を踏み入れ歩き出した。
「橘さん、先に井戸で血を落とした方が良いですよ?」
一番最後に屯所の中に入って来た総司が、瑠衣に声を掛けて来た。
「えっ?
自分何処かに血が付いてますか??」
総司は瑠衣の羽織りの裾を指差している…
「多分、後始末の時に付いたのでは無いのですか?」
よく見ると、確かに総司の言う通り、少量ながら袖の裾に血が付いている。
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