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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第23章 "師"
「あぁ…
早い所洗濯に出さないと落ちなく成りますね、その前に井戸で少し落として来ます」
こういう事にはすっかり慣れてしまい、瑠衣はスタスタと井戸に向かう。
羽織りを脱いで桶に浸け、自分は別の盥で顔を洗う。
「ふう-
サッパリする…」
瑠衣に掛かれば冬の寒さも何のその……
羽織りを漬けて置いた桶ごと炊事場に持っていき、通いの女中のおばちゃんに羽織りを渡して始末終了。
そして今度こそ、報告書を書きに自室に足を向けた・・・
自室は総司が先に火鉢を持って来たのか、仄かに暖かい。
瑠衣は着替えを済ませ、報告書の為に文机に向かう。
総司はどうやら、先に夕餉の為に大広間に向かったようだ…
そろそろ恒例になって来た報告書の作成、筆がスラスラと進む。
(何だかすっかり馴染んだなぁ…)
新撰組の生活に余り違和感を感じない、そんな自分が少し笑える。
(自分から見れば時代錯誤なのに…
クスクス……)
電気も無ければ、ガスも水道も携帯もテレビも無い、そんな生活にすっかり馴染んで此処にいる、まぁ‥向こうでも自分で使うといったら電気とテレビくらいか?
後は女官が勝手にやってくれる。
まぁ……
山の中生活が長かったから料理くらい出来るのだが…
あの場所は、電気もガスも水道も無かったから、此処の生活と大差は殆ど無い。
今日は捕り物が有ったお陰で、報告書の枚数が多い、何時までもやりたくないのでサッサと書き上げ、土方の部屋に向かう・・・
「副長、橘です」
「入れ…」
中に入ると、此方も恒例のように書類と格闘している・・・
「今日の分の報告書です」
「あぁ、その辺に置いてくれ」
「はい、分かりました」
一応土方の邪魔にならない様に、隅に報告書を置いた。
「では自分はこれで」
「あぁ、ご苦労だったな」
邪魔をしない様に土方の部屋を出て、夕餉を食べに大広間に向かう・・・
広間には総司を囲んで、幹部達の人だかりが出来ていた……
「?????」
全く訳が分からない瑠衣…
「どうしたんですか??」
一応だが、人だかりの輪に入っていく…
これが後々後悔する事になるのだが・・・・・
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