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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第6章 "同"
「私は橘さんに負けたのですねぇ」
そう言ってポリポリと頬を掻く…
「すみません…」
何となくいたたまれなくなって見つめていた目をふと外してしまう
「どうして謝るのですか?
私が負けたとなれば橘さんがそれだけ強かったと言う事でしょう?」
分からないとでも言いたそうに総司は首を傾げて瑠衣を見ている
「紙一重でした…
もしかしたら負けていたのは自分の方かも知れなかったです」
「だが、あなたが勝った」
「偶然‥かも知れません、もしまた同じ状態になれば勝てる自信は一つも無いです」
そう、あの三段突き、まさか同じ所を二度狙うとは思わなかった
もし、同じ条件が揃った場合、今の自分でもう一度見切れるか…
いや見切れても交わせるかが問題だ‥この人の身では……
「誇って良いのですよ?
私からー本取ったのですから、私と同格かそれ以上の実力があるって事じゃないですかぁ」
「あ…ありかとう御座います」
もう一度総司の目を見る…
そこにはにこやかに目をキラキラさせた総司が居た…
「橘さん、また試合をして下さいね、私は強い人が大好きなんですから!!」
「えっ…あー
出来たら遠慮したいと言うか…まだ死にたくないと言うか…」
らしくなく焦ってしまう、あんな事を毎日やらされたら体が幾つあっても足りないっ!!
「えー!!
やっと強い人を見つけたのに勿体無い」
ぷぅと頬を膨らまし少々不満顔の総司に多少の作り笑顔で誤魔化したりしてみて…
(本当にこの男の性格は分かりにくい・・・)
心中複雑で内心で深いため息…
その時、ドタドタと足音が近づいて来た・・・
「「・・・??」」
「橘、入るぞ」
五月蝿い足音と声の主は土方だった、スパンッと障子を開け、そこに総司も居るのを見て眉間に深い皺が寄る。
「総司、何でお前が此処に居るんだよっ」
ドカッと座り総司を睨む土方…
総司は慣れてるのか全く気にしてない様子…
「橘さんとお話がしたいからに決まってるじゃないですかぁー
それとも何かおかしな事でも思ってるんですかねぇ土方さんは…」
ニコニコと土方に話す総司、気のせいか言葉に毒があるような??
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