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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第23章 "師"
一般的に、似た者同士は反発すると良く言うが、この二人には当て嵌まらない様で……
「瑠衣-!
朝から動いてお腹空きましたよぉ-」
「はいはい…
着替えて、サッサと朝餉に行きましょうか…」
どちら共に尊重し助け合い愛し合い、人が羨む程に仲が良い二人だった・・・・・
「近藤さーん!」
昼前、総司は近藤の部屋をコソッと覗いてみた…
「おっ、総司かどうした?
入っておいで」
土方と違い、大らかな性格の近藤、総司に手招きして来い来いと促している。
「失礼しまーす」
総司も土方の部屋とは違い、気楽に近藤の部屋に入って行く…
「総司、お前が私の部屋に来るなんて珍しいな」
京に来た頃は、毎日の様に部屋に来ては、ゴロゴロと暇つぶし代わりにしていたが、最近は此方も忙しいのもあり、めったに部屋には来なくなった。
近藤にしてみれば嬉しくもあり、寂しくもありと云った所…
「んー
実は近藤さんにお願いがあって…」
「金子なら貸さんぞ、総司お前ならば全て甘味になってしまう」
「違いますよぉー
土方さんと同じ事言わないで下さい」
頬を膨らまして拗ねる、こういう所は多摩に居た頃とさして変わらない、子供の頃から見て来た近藤の親心と言った所か…
「あはは‥
歳にも言われたか…
で、何のお願いなんだ?」
「えーと…
先に状況から話しますね…
最近、橘さんが天然理心流を習いたいって言い出して、私が教えていたのですよ」
「橘くんが??」
「えぇ、それがひと月経たない内に全て覚えてしまって‥
それで橘さんが近藤さんの立ち会いを見て見たいって…」
「ひと月で!?
それも総司が教えた!?」
「私が教え下手なのは十分承知してます・・・
橘さんの方が飲み込みが上手いんですよぉー
自分が普段使っている流派の他に示現流、一刀流、北辰一刀流なんかも免許皆伝の腕前ですからねぇー」
頬をポリポリ掻いて苦笑いをしている…
これも総司の子供の頃からの癖……
それにしても橘君が其処までの腕前だったとは…
自流派の他に沢山‥朱雀様が橘君に目を掛けているのも、多少ながら納得出来るものがある。
「それで私の立ち会いを見たいと?」
「はい、どうも私には変な癖があるみたいで、ですから近藤さんのが見たいと…
暇な時で良いのです、一度見て貰えませんか??」