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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第23章 "師"
道場ー
総司が平隊士達を外に連れ出し、自分が稽古を付けるらしい…
何となく不安はあるが・・・・・
瑠衣は道場の中央に座り、目を瞑り精神統一を図っている…
『ガラッ……』
戸の開く音が聞こえ、近藤と‥何故か土方が入って来た。
「待たせたかい?」
その言葉に、瑠衣はゆっくりと目を開ける…
「いいえ、局長今日は宜しくお願い致します」
瑠衣は一礼してから立ち上がった…
「しかし‥橘君が理心流を習得する気になるとは思わなかったよ」
竹刀を片手に、近藤も道場の中央に進む…
「一度やってみたいと思っていたんです」
天然理心流を習得したいと思ってたのは本当の事…
だが、自分の時代の理心流はかなり落ちていて、総司のような三段突きを習得しようとしても、ほぼ不可能に近く、資料も言い伝えも残ってはいない…
だからこそ、今此処に居る内に、完全に習得する気になったのだが……
話し合った結果、お互い防具を付け、竹刀を握る・・・・・
「お願いします!!」
「うむ…」
近藤と瑠衣の理心流としての試合が始まった…
構えを平青眼にし、足捌きを総司と全く同じにする。
(ひと月で‥
これは嘘では無い様だ…)
近藤も平青眼に構え、瑠衣の出方を見る事にする…
(やはり中心にズレは無い、此方が本当か…)
瑠衣は近藤の構えを見て、総司との違いを納得する…
それを道場の隅で、正座をして見ている土方。
(まるで総司がもう一人居るみてぇだな‥)
瑠衣の構え、殺気を感じて、総司に似ている‥そう思う…
お互い様子を伺っていたが、先に瑠衣が仕掛けた!!
「はぁぁぁぁっ!!」
理心流は急所狙いの技が多い、平青眼から首を狙い最上段の払いを繰り出す!!
『バシッ!!』
近藤は瑠衣の竹刀を竹刀で受ける、同じ技だからこそ出来る事だ。
(速い、これは総司並だね…)
瑠衣の習得の早さと力量に感心する近藤…
此ならば手加減は要らない。
瑠衣の竹刀を弾き返し、その遠心力で連撃を出すっ!!
『バシッ‥ヒュ‥バシッ‥バシッ‥』
瑠衣は的確に受けるか、かわすかして近藤の技の組み立て方を見ている…。
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