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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第23章 "師"


当初の目的は何処へやら、段々と別方向に進んでる気がする。


「此からどうなるんだろう…」

勿論、新撰組の行く末は全て承知している…

だが、"鬼"と結界陣の行く末はまるっきり分からない、歴史の裏に潜んでいた歪み、自分でさえ把握しきれない・・・

そんな中で自分の進む道は?

総司とはどうなる?

表には出れない自分に出来る事は?

自問自答を繰り返し、出ない答えに少々苛つく。


「最近弱気だなぁ…」

そんな自分が何処か可笑しい…

自分の時代に居た時は、こんなに迷う事は無かった筈…


(神様だって生きてますよ‥って言い出してみたくなって来た…)


思わず浮かんだ馬鹿な考えに少し戸惑い、頭を振って起き上がり隣の総司を見る…


(全て総司が教えたんだよ…)


言葉には出さずに、切ない目で総司をただ見詰める…
別に総司を責める気は無い、逆に感情を思い出さしてくれた事には、本当に感謝している……

その先は分からないが・・・・・



こうウダウダ考えていても、仕方が無いと思い、まだ目を覚ましそうも無い総司に羽織りを掛けて、瑠衣は夕餉を取りに大広間に向かった・・・




瑠衣が夕餉から戻ると、総司が漸く気が付いたようで、部屋で大人しく起き上がっていた…


「総司、やっと目が覚めましたか‥」

「えぇ…
またやっちゃいましたねぇー」

と頬をポリポリと掻く…

瑠衣は火鉢の前に座り、ちょっと渋い顔をして総司を見る。


「総司‥確信犯でしょう…
今回は局長も副長もしっかり見ていますので、そのつもりで…」

ここぞとばかりに、はっきり釘を刺す!!

「やっぱりバレてますねぇー
って……
近藤さんとの試合はどうなりました!?」

総司は此方に身を乗り出し聞いて来る!!

「はい、私が勝ちましたが?」

「という事は…」

「えぇ、免許皆伝でも良いと…少なくとも副長より上と言われましたね」

ニッコリ笑い話す瑠衣…

「やったぁー!!」

総司は思わず瑠衣を抱き締めて嬉しそうに喜ぶ…

「クスッ…
やりましたよ……」

「ですね…」

お互い顔を見合わせて喜びの表情……


「瑠衣……」

互いの顔が近い…

総司の顔が瑠衣の唇に近づく…が!!

「はい!待った!!」

瑠衣は総司の口を手で塞ぎ、顔を離れさせ、そしてガッチリ腕を掴んた後にニッコリと笑う。
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