この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第23章 "師"
山崎が消えた理由、それは此方に向かって来る気配が一つ…
「・・・
山南さん!?」
瑠衣は予想外な人物に驚いてしまった!?
「おや橘君、寒いのにこんな所に立って、どうしたのですか?」
「山南さんこそ、こんな場所に珍しいですね?」
ついつい疑問を疑問で返してしまう…
山南が何故此処に、という思いが大きいせいか?
「あぁ…
私は土方君の声が聞こえたので、何事かと思ってね」
土方の部屋と山南の部屋には、かなりの距離がある筈なのだが…
それが聞こえてるとは・・・・・
「はぁーっ…
山南さん、副長の怒鳴相手は沖田先生ですから、心配しなくても大丈夫かと……」
「ははは…
さては橘君は、総司を虎の穴に置いて来たという所かな?」
(虎の穴というより、鬼の巣だと思うが……)
決して口には出さないが、つい余計な事を思ってしまう・・・・・
「まぁ‥そんな所です、今行きますと被害拡大しますよ??」
もう説明するのも嫌だと言うように、溜め息混じりに話してしまうのは、この際だから勘弁して欲しい…
「そうですねえー
相手が総司ならば問題ないでしょう…
では私は戻りますね、橘君も早く戻らないと風邪を引きますよ?」
「はい、分かりました」
山南は土方の部屋の方を気にしつつ、自室へと戻って行った・・・
「はーーっ…
今日は厄日なのか?」
重なる不運なのか?
流石につい愚痴を零してしまう…
これ以上何も無い様に、さっさと自室に戻りたい、これが瑠衣の心の中の本音だったりする・・・
「上手く交わしたなぁー」
天井裏から、トンッと軽い音を立てて、再び山崎が降りて来た…
まぁ、居るのは気づいてはいたが…
「あのまま山南さんを副長の部屋に通せと??」
総司を挟んで土方と…
嫌な結果が見える気がする……
「はぁー
それはわてでも阻止するなぁ」
瑠衣の意見に、最もだと同意する山崎、此方も考えは同じらしい。
「どちらも引きませんから」
「せやなぁ……」
温厚で真面目な山南だが、あれでとんでもない頑固な一面がある、その頑固さが土方と衝突してしまうのだろう。
・