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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第23章 "師"
「あぁぁっ…はあんっっ」
「はぁはぁ…沖田はんにもそんなん声…出すんか?」
瞳に涙を浮かべ、頬を赤く上気させ、薄く唇が開き…
切ない顔で山崎を見上げるその姿…
今まで聞いた事の無いような、甘い声……
山崎の理性を崩すには十分、いやそれ以上な扇情的な表情や仕草をしている。
山崎はそのまま、瑠衣の耳や首筋に唇を這わしていく…
「あっ!! あぁぁっ…山…崎さん…はぁぁ…だ……め……」
体は山崎の行為を快楽だと反応し、息が上がるのを抑えられない…
山崎の開いている片手が、瑠衣のさらし越しの胸に掛かった!!
「あぁぁっ!! 嫌っっ!!」
瑠衣の拒絶の声に、山崎はハッとして、押し倒している瑠衣の顔を見てしまう…
瑠衣は瑠衣で、泣きそうな顔で山崎を見ている…
急な事だったので、山崎の心が瑠衣の中に入って来てしまったのだ!!
苦しい…
切ない…
…欲しい…
決して恋では無いけれど、恋に近い感情…
だから、悲しそうに山崎を見る…
「・・・・・
すまん‥どうかしてたわ………」
瑠衣の手首を離し、倒れ掛かるように体が沈む…
「堪忍や…
少しだけでえぇ、こうしててや…」
着物越しながら、瑠衣の胸に顔を付けて、山崎は瑠衣を抱き締める…
瑠衣には、抱き返す事も返事をする事も出来ずに、山崎のされるままになっていた……
・・・・・
どのくらいこうして居たのだろうか?
短い様にも長い様にも感じる、ひと時の間……
だが、山崎は思いを振り切る様に、瑠衣を抱き締める腕を緩め、ゆっくりと体を起こし離れて行く…
瑠衣も、それに合わせて半身を起こし、また悲しそうに山崎から視線を外す、悲し過ぎてマトモに顔を合わせ難い。
「すまん‥かった…
もう‥こんな事はせんさかい…」
気まずそうに俯く山崎、思いの儘にやった後に残るのは、後悔と言う二文字……
「・・・・・山崎さん・・」
悲しそうな瑠衣の瞳は変わらない…
「そんなん顔せえへんでくれ、わいが辛いわ…
また何かあったら助けるさかい‥な…」
瑠衣の頭を軽くポンポンと叩き……
そして、もう一度だけ頬に軽く触れ、触れるか触れないかの口付けを一つだけ落とした後、そっと離れて静かに部屋を出て行った・・・
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