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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第24章 "山"
夜ー
総司を屯所に残して、一人京の街に佇む…
総司が居ないので、今は屋根の上に登り大通りを眺めている。
(やっぱり…
寂しいな………)
一人の街中、誰も歩いては居ない大通り…
何時もならば、総司と話をしながら"鬼"の捜索をしていたのに、今は話声所か物音一つしない。
広い京の街中にただ一人……
前は、一人で行動といっても、総司が別区域を担当して街中に居た。
けど、今回は完全に一人での行動になる、自分が選んだ筈なのに何故か心境複雑…
(いつの間に…
自分はこんなにも、総司に依存する様に成ったんだろう…)
平気だと思ってた…
だけど、実際は総司が居ない事に一抹の不安がある…
"鬼"を倒す事では無い、自分の心がだ。
「本当に弱くなったな…」
誰に聞かれる事の無い小さな声‥の筈だった
しかし、それを聞いている者がいた…
「誰が弱ぁなったんや?」
後ろを向くと、同じく屋根の上に忍装束の山崎が立っていた。
「あれ…
山崎さん、監察の仕事の帰りですか?」
「阿呆ぅ…」
ゴンっと頭に一発拳骨が入る‥勿論ごく軽くだが…
「うっ・・・」
「副長が沖田はんの変わりに、わいを付けたんや、感謝せぃ!」
「はぁー!?
新撰組一の忍を付けて頂けるとは、それは有り難いですねー」
何となくだが、ワザとおどけた様子で話してしまう。
「橘…
お前なぁー」
「クスッ、何ですか?」
「…
わいでは嫌か?」
急に真面目な顔して話す山崎、あの時の事もある、もし橘が嫌ならば……
「……
この間の事はもう気にしてませんから……
そうでは無く、一人の方が仕事がし易いんですよ」
瑠衣は山崎の方を見る事無く、誰も居ない街を見ながら話す…
「……
誰でも一人は嫌やで橘…」
「だったら‥山崎さんが慰めてくれますか?」
「なっ………!?」
座っていた瑠衣が山崎を見上げての‥上目使いの爆弾発言に、山崎の方が動揺して顔がみるみる赤くなっていく。
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