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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第24章 "山"


「ほんま、わいの出番無いわ………」

今は逆に橘を探して街中を走っているのだが・・・


「見つからん…」

「…此処ですよ山崎さん」

突然、声がした上を見上げると、物見櫓の天辺に座っている、瑠衣のお気に入りの場所だ。

瑠衣を追い掛けて、山崎も櫓の上に登った…


「見晴らし良いでしょう、お気に入りなんですよ」

「ほんまやな…」

街中をかなりの範囲で見渡せる…
瑠衣はただ時を待つ様に、櫓の天辺に座り街を眺めている・・・


「なぁ橘…」

さり気なく山崎も隣に座る…

「何ですか?」

「今は楽しいか?」

山崎の突然の質問に少し考える……

「楽しいですね‥とても……」

何故かその口元は笑っている。

「そか…
ならええ……」

瑠衣が三度目の"鬼"の捜索に出るまで、二人は櫓の天辺で無言で街中を見ていた・・・









其れから一週間程の時が過ぎた……


朝帰りの瑠衣と、巡察に会議にと忙しい総司は、最近すれ違いで会話すらしていない。

屯所内で会っても、それは仕事の内で"沖田先生"・"橘さん"としか呼んでいない…


今日も昼過ぎから総司は会議で会津藩邸に行っていて、屯所を留守にしている。


(今日もすれ違い‥か…)


夕方過ぎまで藩邸に行っていると聞いている、多分‥自分の隊務時間とはまたすれ違うだろう…

昨日と言うか、今朝の報告書の作成に取り掛かる、人形のように……


一人しか居ない部屋は、案外静かなものだ…
現代に居る頃を思い出す……

奥宮で人気の殆どない生活…
表の宮の仕事が終わった後は、奥宮で瞑想や本などを読んで余暇の時間を過ごしていた。


報告書を書き終え、久しぶりに瞑想してみようと思う…


心を無に…

無感情に…

冷静で冷酷に…

人間では無く神としての感情に…

此処に来る前の自分に戻る様な感覚……


自分…いや…我の今取り巻く全てを排除し、我の深層世界に入りゆく…



炎一つありき…


我を司る象徴であり、我そのもの…

火を司り…過去を司る…

我に見えるのは過去…

過ぎ衰え忘れたれた時間…

監視者であり管理者…

そこに理由も感情も要らぬ…

どんどん深く深く潜る…


深く・・・


深く・・


深く・



どのくらいそうして居ただろうか……
目を開けると、日がかなり傾いてきていた。
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