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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第24章 "山"
とりあえず瑠衣が昼餉を食べている間は、此方も大人しく昼餉を食べているフリをし、瑠衣が炊事場から出るのを確認してから、山崎は一目散に土方の部屋へ走った!!
「副長…」
勿論、屋根裏から山崎は土方の部屋へ入る…
「山崎か…
どうかしたか?」
「橘の事やけど…」
「橘?」
引っ掛かるものがあるので、土方は筆を止めて山崎の方向に振り返った。
「ありゃ不味くないでっか?
さっき炊事場で会うたんやけど…
完全に無表情に無感情やった……」
「・・・・・・・」
「勿論、言われた事には答えるし、仕事もする、けどそこに全く心が籠もってないねん、まるで人形や…」
「…そうか…
実は総司の方もだ、昔みたく心に何か隠していやがる」
二人共現状の危うさに、溜め息を吐くしかない・・・
「兎に角、どちらも何時暴走してもおかしくない状態だな…」
「危険ゆうたら橘の方が不味そうや…
何時崩れてもおかしゅうない、そんな感じやと思う」
「あぁ…」
総司の方は腹の内を隠しているだけだが、橘の方は何が起こるか予測も付かない。
「全く‥お互いどちらかが欠けると暴走する、今回は二人共と来た・・・」
完全に二人で一人、お互いがお互いを補っているのだろう…
だからこそ惹かれ合う、土方はそう見ている。
「そりゃま、普段は公私共に一緒や、けど橘の危うさはそんなもん違う…
もっと‥あーっ!
言葉が出えへんっ…」
何と言って良いんだか…
暴走と言うより…
消えて無くなりそう…
そんな感じがピッタリ来る…
「彼奴が居なくなりそや…」
自然にポツリと山崎は一言を零した…
「居なくなる…
と言うより、別人の様だな」
どうすれば良いやら…
土方と山崎、二人共に考え込んでしまう・・・
「兎に角‥俺は橘を、山崎は総司を頼む‥
今日は総司の奴は藩邸だから手が出せない、明日無理にでも二人纏めて何処かに放り込んでやるっ!!」
「へぇ…
分かりました…」
後に‥この瑠衣をどうにかするという思いが、土方自身とんでも無い危険と付き合う事になるとは夢にも思わずに・・・・・