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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第24章 "山"
「やっぱり瑠衣もですか?」
「えぇ…
大概は、本当に微妙な表情で作り笑いしてましたね…
あれ、面倒くさいです」
「少し切り抜け方を教えて下さいよぉ…
私、土方さんの様には出来ません・・・」
総司ならば無理だろうなぁー
瑠衣はつい思ってしまう。
「人それぞれですから…
こればかりは無理です」
「そんなぁー!!」
瑠衣にだからこそ言える愚痴…
他の人には絶対に言えない……
瑠衣も分かっているからこそ、総司の愚痴に付き合っている。
「だって‥総司がニヤリと笑い、狐や狸の相手出来ますか?」
「狐!?
た…狸って……」
「ああいう所で蘊蓄を垂れるのを、狐か狸って思いますよ………」
「ぁはは…
狐か狸ですか、良い表現ですねぇー」
背中から抱き付かれていて温かい…
久しぶりの総司の温もり。
「まっ、そう思って相手するのが一番です!」
「なぁる程ー
と‥言いたいですけど、無理ですよぉー!」
「うーん…
総司は総司なり‥ですか……」
此ばかりは個々の性格、総司が自分のように、切り抜けられるとは思わない………
多分、何時もの笑顔で誤魔化しているのだろう…
表の話なだけに…
自分には手が出せない・・・
「さて…
本当に隊務に戻らないと…」
「そうですよね…」
隊務‥後ろから抱き付いていた総司がそっと、抱き締めている腕を離した…
「兎に角、総司止めてくれてありがとう…」
「いえ、私の為でもありますから…」
名残惜しさはあるが、ゆっくりと竹林を歩き出す二人…
「後半月くらいあるのですよね…」
「総司…
辛いですか?」
「辛くないと言ったら嘘ですよね…」
「そうですね…
自分も一人が辛いです…」
「瑠衣が弱音ですか!?」
流石に吃驚してしまって、総司は少々驚きの顔をする。
「いつの間にか、二人で居る事に馴れて仕舞ったんですかね…
一人になると余計な事ばかり考えます…
今回の事も、考え過ぎが原因でしょう…」
「…
私も二人が良いです」
「…はい……」
密かに繋いだ手が温かい、けどもう直ぐ離さないといけない…
漸く竹林を抜け、街中に戻って来た総司と瑠衣、名残惜しさいっぱいだが、此処で分かれなければならない。
「では、私は屯所に戻ります」
「はい、後は任せて下さい」