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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第24章 "山"


「橘、"目"を殺るまで力と技は使うな良いな」

「はい…」

そう言うと、当代様は刀を出現させた…


「"我に従いし炎よ…龍となりて敵を絡め力を封じ縛せよ"」


当代様の朱桜刀から炎が出現し、十本の縄となって"鬼"を縛する。


「いくぞっ!!」

「はいっ!!」

当代様は一瞬で屋根の上に転移し、瑠衣は"鬼"に向かって走り出した…!!


「はぁぁぁぁっっ!!」


『ザシュ…ザシュ…ザシュ…ザシュ』


「一匹っ!!」

次に向かって大地を蹴り飛び上がる!!


『ドカッ…ザシュ…ザシュ…ザシュ…ザシュ…』


「二匹っ!!」

瑠衣が"鬼"の相手をしているその間に、当代様は忍を一人見付け出した…


「"目"の分際が…」

一瞬で間合いを詰め、忍の左目に刀を一線させる!!

「あぁーっ!!」

目をやられ血を流す忍。

「トドメじゃ…」

刀を振ろうとした瞬間、黒い結界が現れ、忍は結界に呑まれ消えて行く・・・




「…
逃がしたか…」


((くおぉぉぉぉ!!))


元々効力の弱い縛…
鬼"達が縛を引き千切り始めたらしい…

「橘、良いぞ!!」

その言葉と共に当代様も"鬼"に向かい転移!

瑠衣は朱桜刀で自らの手を軽く斬り、血を数滴朱桜刀に垂らす…


「"朱桜刀よ我に力を…"」

瞬間、刀身は赤く輝き出した!!


「手加減無しだっっ!!」

"神足"と"神撃"と"神力"全てを使い、一気に"鬼"に飛び込む!!

当代様も同じく飛び込んで行く。


『ザシュ…ザシュ…ザシュ…ザシュ…ザシュ…ザシュ…ザシュ…ザシュ…ザシュ…ザシュ…』


土方から見れば、当代様と瑠衣の姿は速すぎて見えない…
ただ"鬼"を斬り裂く音と、刀の赤い残像だけが無数に見え聞こえるだけ……


(これが本当の橘の実力…)


その余りにもの力量の違いに茫然となる…

総司どころの話では無い、この国で一番の使い手と言われる、朱雀様と対等に渡り合っている……


次々と灰になり水晶となっていく上級の"鬼"…
有り得ない光景に土方は動く事すら出来ない状態で、ただ残像と音を茫然と結界の中で見ているだけ……


"鬼"の力など、自分が張った防護結界で全て弾き返し、瑠衣は次々と"鬼"の心の蔵を狙う…
能力をほぼ解放している為、体が異常な程軽い……
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