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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第24章 "山"
『ザシュ…ザシュ…ザシュ…ザシュ…』
また一匹倒す…
当代様も力を解放している為、朱桜刀の赤い残像が見える…
一心同体の自分の刀、分身であり相棒…
朱雀の力を受けても壊れる事は無く、逆に力を取り込む。
(あと三匹っ…)
既に七匹…
瑠衣は次に向かって転移し朱桜刀を振るう!
『ザシュ…ザシュ…ザシュ…ザシュ…ザシュ…』
此奴の心の蔵は五つだ…
当代様も他の二匹を片付け終わったたようだ。
十匹の上級…
人間の手にはあまると云う所か……
瑠衣は朱桜刀の力を解放してやり鞘に収める・・・
「ふぅ…」
見渡すと回りは水晶の山、一日でこんなに水晶の山を見るとは…
本当に勘弁して欲しい・・・
当代様も刀をしまい、此方に歩いて来る。
「良く此処まで集めたものだ…」
「はぁ…
全くですね…
黒幕の馬鹿に送り返してやりたいですよ…」
「全くだ…」
公式の場では無いので、お互い口が悪いのはお互い様………
「しかし…
少ない上級を此処まで集め、配置する…
この場が其処まで重要か……」
「確かに随分手が込んでいますね…
低級を全て倒したら罠が発動する仕掛け…
何かあると見て良いのでは?」
「そうだな…」
多分、壊れた結界の中に、方陣の黒い術石がある筈…
瑠衣は其方に向かって歩こうとするのだが……
「・・・・・」
"グラッ…"
急に体中の力が抜け、倒れそうになる、勿論原因なんて分かっている。
「危ない!!」
咄嗟に当代様に受け止められ、転倒は避けたけど……
「力の使い過ぎだ、馬鹿者!!」
「そう…
みたい‥です…」
急に襲ってくる睡魔…
本当に力の使い過ぎの様だ、あれだけ力を全開に使えば、当たり前か…
当代様は懐から力の玉を取り出し瑠衣に放つ…
赤い力が瑠衣の中に吸収されていく……
土方からは朱雀様の背しか見えない、橘が倒れたのは分かる、その後に赤い何かが光ったのも…
だが何をしているかまでは見えないでいる。
「全く無理のし過ぎだ…」
瑠衣を抱き締めながら、一本の短刀を土方に…
いや土方の回りの石に向かって投げた!!
短刀は石に命中し、石と共に壊れ消え去ってしまう。
『パーン!!』
それに伴い、土方を囲い守っていた結界が消えた。