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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第24章 "山"
「土方、もう良いぞ」
その言葉に従う様に、土方は瑠衣と朱雀様の元に向かう。
「橘は……
体力の使い過ぎだ、暫く眠る…」
瑠衣を横抱きにし土方に渡す当代…
そして手の平を上にして手を伸ばす……
すると、落ちている全ての水晶が浮き上がり、当代の手に集まる…
それを何処かに消し去ってしまい、更にと結界の中心に向かって歩いてゆく。
「…これか……」
其処にはやはり少し大きめの黒の術石があった…
もう一度朱桜刀を出現させ、刀で石を突き刺し黒の術石を力で破壊する!!
『キ―――――――――ン』
一部の者にしか聞こえない音を立て、術石は脆くも崩れ去る・・・
当代が空を見上げると、結界線が一本消えていた・・・・・
「土方、橘を頼むぞ」
「は…はっ!」
全てが終わった、当代はそう言い残し、現れた時と同じように突然消えていく…
「・・・・・終わったな…」
瑠衣を抱え土方は屯所に向けて歩き始めた・・・・・
橋をポツポツと歩いて居ると、何故か突然瑠衣が咳き込み出してしまった!!
「げほっ…はぁ…はぁ…」
良く見ると唇は渇き、息をするのも苦しそうである。
「お…
おいっ橘!!」
「げほっ…げほっ…」
土方は仕方が無く橋を通り抜け、直ぐ下の川まで降りる。
土手を上手く飛び降り、草むらの上に土手を背にして瑠衣を下ろす。
そして、自分は丁度持ち合わせていた酒瓶の酒を捨て(中身は高級品らしいが、酒が余り好きでは無い土方は気にしない)、綺麗に洗ってから、川の水を酒瓶に入れ……
そして土手に戻り、瑠衣に飲ませようとするのだが………
「げほっ…げほっ…」
直接酒瓶から水を飲ませようとしても、上手くいかない…
「……仕方が無い…」
土方は酒瓶の水を口に含み、直接瑠衣に飲ませた…
乾いた唇に水を流し込む……
"コクン…"
僅かだが水を飲んだ感触がある…
もう一度水を含み口付けする‥ゆっくりと水を流し込み、瑠衣が飲むのに合わせる…
「ん…コクン…んっ…はぁ…」
水を飲んだ事で咳きは止まった様だ…
うっすらと瑠衣の目が開く…
「…??」
土方の着物に手を掛けて、もっと水が欲しいのか、己から土方に口付けして来た!?
「んっ!?」
土方はまさか瑠衣が、こんな行動に出るとは思わず焦ってしまう