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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第24章 "山"
十二月三十一日大晦日ー
瑠衣は終わらない土方の挨拶状書きを手伝っていた・・・
「ちくしょう、そんなに達筆で早いなら、もっと早く頼めば良かったぜ…」
「知りませんよ、副長が遅いんですよ、局長も山南さんも終わってますよ」
文机二つ、山の様な紙に次々挨拶状を書いていく…
「けどなぁ…
通常の報告書もあるし進まねぇんだよっ」
「あーはいはい…
口より手を動かして下さい」
サクサクと挨拶状を増やしていく瑠衣…
土方も必死だが、なかなか手が進まない・・・
「副長、正月まで挨拶状書きたいですか?」
「勘弁してくれ………」
黙々とやっても夕方過ぎまで掛かり、やっと全ての挨拶状を書き終えた…
「はーっ…
何とか終わりましたね」
「絶対明日は筆なんざ持ちたくねぇ・・・」
「これで心おきなく宴会に参加出来ますよ?」
「あぁ…
助かった……」
此から大晦日の宴会がある…
土方一人だったら、それ所の話じゃ無かっただろう。
「では自分はこれで」
「あぁ…」
半日ぶりに土方の部屋から解放された瑠衣だが・・・
(何だか着物が墨臭い……)
自分の着流しの墨の臭いに嫌気がさし、とりあえず着替えにと自室に戻る事にした・・・
「おや?
やっと解放されましたかぁー」
「総司の方も終わったんですか?」
「えぇ…
大分前に……」
総司は書類の処分に回っていた筈…
まぁ、燃やすだけなので、始末は簡単なのだが……
「副長の代筆はもう勘弁ですね、着物が墨臭いです・・・」
「あぁ…
それ分かります、私も去年やらされましたから………」
瑠衣は箪笥から、着替えのさらしと着流しを出した。
「総司、後ろ向いてて下さい」
「あ…はい…」
慌て後ろを向く総司、その後に瑠衣の着替える音が部屋の中に響く………
「…
ねえ瑠衣」
「何ですか?」
「・・・
たまには着替え姿が見たいです………」
「!?
馬鹿っ…!!」
『バフッッ!!』
瑠衣の逆鱗に多少触れたらしく、後ろから墨の臭いたっぷりの着流しが降って来た!!
「総司の頭の中はそれしか無いんですかっ!!」
「そんな事はありませんよぉー」
総司は着流しを引っ張り顔を出す……
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