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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第25章 "帝"
といっても事件がある筈も無く、担当区域もかなり外れなので全く持って暇の一言、それでも警護の為と寒さに耐えてこの場にいる。
近藤も目を瞑り、さっきから黙ったまま(もしかして居眠りなのか!?)…
原田達も大声を出す訳にもいかず、苛々している。
「まっ、何事も無く…
それが一番なんですがね」
「ほぅ…
珍しく分かってるじゃねぇか…」
無いことに、総司の言葉をからかう土方、暇なせいなのか??
「私だとて何時までも子供では無いのですし…
土方さんに言われると、何故か物凄く腹が立ちますねぇー」
「それがお子様だと言ってんだよ…」
揚げ足を取り、総司をニヤリと見る…
総司の方は頬を膨らまして、土方から反対の方向を向いてしまった。
(だから餓鬼なんだって…)
笑いたいのを何とか無表情に我慢し、鬼の副長の顔を必死に保つ。
総司と土方の暇が故の攻防の中、遠くから誰かが此方に向かって必死に走って来るのが見える…
「土方さん…」
「あぁ…」
今までとは裏腹に、厳しい顔付きになる総司と土方…
だが、走って来たのは何故か‥瑠衣だった・・・
「「橘(さん)!?」」
意外な人物の登場で、二人は屯所で何かあったかと勘ぐる…
瑠衣の方は、よっぽど走ったのか、はぁはぁと息を切らせているのだが………
「橘、何かあったのか?」
土方はとりあえず瑠衣に声を掛けてみる…
その声に瑠衣はやっと、此処が新撰組の担当区域だと気付いたようだ。
「あれ…
副長…??
あぁ…!!
担当区域は此処だったんですね」
だから待ち合わせ場所が此処なのか…
瑠衣も漸く指定場所に選んだ理由を納得した。
「橘さん、何かあったのでは無いのですか?」
何となく変なものを感じ、総司も瑠衣に声を掛けた・・・
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