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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第25章 "帝"
各藩の警護区域を抜けて、御所の正門近くまで来た…
流石にこれ以上は、警護と名乗っても近づけ無い。
「少し遠いが、しゃぁないな」
「此処まで来れただけでも、奇跡に近いですよ」
普段でも警戒厳重な場所の一つ…
今は警護担当と言う事で、散々すり抜けて来たが……
「お前ら、俺を置いて行くな…」
少し間を置いて、後ろから何故か土方が追い付いて来る。
「あれ…副長…」
「お前らが何か仕出かさ無いか見張りだ…」
土方はニヤリと笑う、結局の所は自分も野次馬根性に勝てなかった訳なのだが…
正門からは少し距離はあるが、見えない距離では無い…
三人は暫く正門を眺めていた・・・・・
其処に、独特の衣装に身を包んだ朱雀の武将や女官に囲まれ、朱雀様が乗って居るだろう輿が御所正門に近づく…
不思議な事に、輿は宙に浮き、独りでに移動しているように見える。
正門前に輿が止まり、武将、女官が一斉に輿に向かって頭を垂れ、正式な礼の体制を取る。
五十人以上は軽く居る供の者が、一斉に‥男は片膝を折り、女は両膝を付け、礼の体制を取る姿は圧巻だ!!
「凄いですねぇー」
「あぁ…」
「それだけ一族の結束が強いのやろな…」
総司達も、朱雀の一族のその姿に驚きを隠せない。
正直、此処まで統制が取れ、忠誠心を見事に司っているとは思わなかった…
その中から、一人の側近らしき男が近付き輿を開く。
(あれは…焔殿…か?)
土方の思いは兎も角、開いた輿の中から、優雅な仕草で朱雀様が姿を現した…
自分達が会った時とは違い、銀色の髪を靡かせ、豪華な正装に身を包み、無表情に輿に手を差し伸べている。
"シャラン…"
その朱雀様の手を取り、綺麗な音を奏でて、一人の女性が輿から姿を現した……
「「「・・・!!!!!」」」
総司、土方、山崎は女性の姿を見て目を丸くし、その場から動けない。
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