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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第25章 "帝"
髪を長くし、女物の衣装に身を包んでいるが、あれは確かに瑠衣だ…!!
腕には不思議な金色の細い腕輪が、何十にも重なって身に着けている。
それが歩く度に、シャランと音を立てて辺りに響く…
朱雀様と瑠衣、それに側近の焔三人だけが、御所の正門の中に優雅に入って行った・・・
「な…何で彼奴が…」
「私が聞きたい‥くらいです…」
総司達はただ、瑠衣が御所の中に入って行くのを見てるしか無かった・・・・・
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話は少し遡って、焔が瑠衣を連れて短距離転移を行った所まで戻る・・・
「意味が分からないと言っているだろう!!」
二人が転移した場所は御所に近い、公卿の屋敷の一室らしい…
「橘様、此方のお召し物にお着替えして頂けますか?」
瑠衣は服を見ると、女物の高位の正装一式が置いてある。
「どういう事だ?」
此方も意味不明、瑠衣は焔を睨む…
「主上と御一緒に御所に入って頂きます、その為には女性の側近が一番良いのです…
私は一度部屋を出ますので、着替えながら話を聞いて下さい」
「・・・分かった」
焔が部屋から出た後、瑠衣は渋々ながらも衣装に手を伸ばす…
(面倒くさい…)
瑠衣の素直な本音だ…
「橘様、聞いて下さい」
焔も隣で着替えているのか、服の擦れる音がする…
「…あぁ…」
「前にお話したと思いますが、外法の封印の内、御所の封印が二ヶ所破壊されていました」
瑠衣も着流しを脱ぎ捨て、さらしや下履きも脱ぐ…
「其処に、一人の陰陽師の影がチラホラと…
関わりある事が判明しました、それは帝に付き、陰陽道を行っていた様です」
「・・・・・・・・」
正装の着付けは面倒くさい、布をふんだんに使い、女性らしく何枚かの薄い下服を重ね着をする。
「それが突然と姿を消した‥らしいのです…
その後、封印は破壊されていた」
朱桜刀を細い何十もの腕輪に変え、他の装飾品と一緒に身に着けていく。
「ただ、これは部外秘とされ、正確に事実を知るのは帝ただ一人…
ですから橘様には御所に入って頂き、帝に合って頂きます」
「・・・ほぅ……」
久々に薄く化粧をし、鏡で自分の姿を見る…
髪が合わない……
髪紐を解き、本来の自分の髪の長さに戻す。
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