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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第25章 "帝"


「……
それで、自分に上手く芝居をしろと??」

「はい、その通りで御座います」

もう一度鏡に自分の姿を映す、着方に間違いは無い、朱雀としてでは無く瑠衣として御所か…
まさか自分が関わり合う事になるとは……


「橘様…
宜しいですか?」

「支度は出来た」

焔が部屋に入って来る…

「流石に御座います…
此から主上の輿に飛びます、後の話は主上の方から…」

「分かった…」

焔はもう一度瑠衣の手首を掴み、当代様の輿に転移した・・・




「間に合ったか…」

瑠衣と焔は当代様の輿に飛び、今はその中に居る。


「では私は此で…」

焔は一礼すると、素早く輿の中から消えた…


「…
随分急な話ですね」

当代様と向かい合わせに座る瑠衣、一応正式の式たりに沿った座り方だ…

「話が入って来たのは昨日だ…
急な事だが、そなたにも聞かそうと思ってな…」

「で…
自分の役所は?」

「我の縁者で、筆頭女官と言う事にしておる、名はそのままで良い」

「………
分かりました主上…」

声色も元に戻し、当代様に向かい微笑する…
これから暫く、この演技を続けなければならなそうだ。


「相変わらず変わり身が早い…
ふっ……
やはりその姿は美しいな…」

当代様は手を伸ばし瑠衣の頬に触れ、軽く口付けする…


「んっ!!」

輿の中なので、余り抵抗出来ないのが辛い…

「それが、そなたの本来の声か…」

当代様は更に口付けを深くして瑠衣を責める…

「んっ…あぁ……」

当代様にしがみつき、何とか逃げようとするが、なかなか離して貰えない…


「ふっ…
男に惚れて感じやすくなったか…」

舌が入り込み、瑠衣の口内隅々まで責め立てる…

「はぁん…あぁ…んんっ…」

その間にも、一行は御所に近付いているのだが…


「だ…あぁ…駄目です…主上…んぁっ…」

暫く遊ばれ、名残惜しそうに当代様の唇が離れてゆく…


「ふふ……
偶には我も遊び心というものを出してみたくてな…」

「はぁはぁ‥
せめて他の時にして頂けますか…
流石に今は辛いです…」

瑠衣は軽く当代様を睨むが…

「そなたが、なかなか外宮に来ないのであろう?」

「・・・・・・・それは…」

ふと、当代様は外を眺めた・・・
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