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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第2章 "神"


儀式が終わり朱雀は外宮の長い通路を歩いている

「今年も事なく終わりました主上」

通路の端に1人の女性
物腰の柔らかそうな優しげな美女

「優衣か…そうだの何事も無く終わった……人の欲望は尽きる事なく…だがな」

朱雀は優衣の顔をチラリと見ると、無表情に応える。


"優衣"

朱雀の右腕にして、筆頭女官・筆頭武将である、朱雀の最も信頼する一族の束ね役である。


「主上、この後どうされますか?
"力"を使われたのですからお疲れで御座いましょう"例の儀式"の準備を致しましょうか?」

優衣は少し首を傾げて朱雀に聞いてくる
その話に無表情だった朱雀が少々眉間にシワを寄せた

「・・・・・正月からその様な気分ではない」

「申し訳ありません」

優衣は膝をつき顔を下に向ける、余計な事を言ってしまったと思っているようだ

「謝る事ではない"我々"には当然の事、力を使えば補給しなくてはならぬ分かっておる、しかし…いや…此処では話にならぬな、奥宮まで行くついてまいれ優衣」

「はい…」

優衣は立ち上がり朱雀の後に続く…


此処はまだ外宮の表の宮、一族のモノや普通の人間などもそれの役目をしている場所、朱雀はそれと別棟にある個人スペースである奥宮に行くと言っているのだ。


長く広い表宮の回廊を抜け、通路に門番が居る場所に辿り着く。


「「お疲れ様で御座いました主上」」

門番は朱雀と優衣を見た瞬間に膝をつき、奥への扉を開ける

そう、此処から先が奥宮
限られた者しか入れない神朱雀の個人スペース

2人はそのまま中に入って行く、そして門番は静かに扉を閉めた。




奥宮の1室ー

朱雀は煌びやかな儀式用の衣服を脱ぎ捨て、簡易用の服を身につけている

優衣は儀式用の衣服を持ち、1歩後ろに控えていた…


「優衣、"裏の儀式"の事は"表"ではあまり話す事ではない、今この時でも人間と言うのは我を恐れか敬いの対象としか見ておらぬ…我の力の回復…相手の"力"を奪うとしれたらまた厄介な事になるのは分かろうて」

そう、"力"の回復方法…

自然から"力を分けて貰う事もあれば、朱雀つまり火の鳳凰の神の性質でマグマの中に身を任せる事もある


しかし一番早いのは人から"力"を奪う方法なのだ。


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