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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第25章 "帝"


御所に上がった数人の陰陽師の中でも最年少…
年は多分十五くらい…

それが二十も超えた所で、安倍家陰陽師の中核となる。


「私も信頼してての…
名を宋 永輪と言った、安倍家に入ったのに、安倍の名は与えられ無かった」

「宋 永輪…
で御座いますか……」

瑠衣は御上の言葉を反芻する…
そやつが今回の黒幕なのか?


「永輪は物腰が柔らかく、他の陰陽師共とは何処か一線を期してた、それが気に入っていた一番の理由かも知れんの……」


御上の話は更に続く…


その陰陽師…

宋 永輪は次第に祭事を司り、御上の運を占い、信頼も厚く御上が良く側に置く様になった。

それと共に勉学熱心で、御所内に残る貴重な陰陽道の資料を、御上の了承の元、今の世に合わせ書き作り直していく…


「今思えば、それが悪かったのかも知れん…
あれは平安の世から受け継がれる書物、中には宮中から出た事の無い事柄もあったかも知れぬ」

度重なる火災から免れ、今の御所に残る貴重な書物…
もしかしたら、外法に関わる事柄が有るのかも知れない。


「今から二年程前、雷が鳴る大雨の日に、御所内に設置してある小さな社が二つ壊れた…
当時は雷が落ちたのであろうと、陰陽師共が慌て社を直し、術を施していった…
だが、社の中にあったであろう御神体が無くなっていたのだ…
御神体がどの様な物だったのかは、私には分からぬが‥その数日後、永輪は姿を消した…
安倍家は永輪の失踪を表沙汰にしたく無い様で、永輪は社を守り、雷に打たれ死んだ事になっておる、だから誰も知らぬ」


御上から話される事実…


多分安倍家は、宋永輪自体の存在を、全て抹殺したのだろう・・・

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