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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第25章 "帝"


記憶を術石に封じ込め封印を施す、陰陽道の術に確かに存在する。


「破壊された社も見て見るとするかの…」

朱雀様は次の社に向かい出す、瑠衣はその後ろを色々と考えながら追う。



二人は次の社に辿り着く、やはり良く調べてみるが、先程の社から見ると封印する物も無く、結界も余りにも簡単で怪しいものだ…

本当にこの時代の、陰陽師共の力量が推し量れる。


「中には適当な符一枚か‥落ちたものだな……」

朱雀様の考えも自分と同じのようだ、安倍家ですら此処まで力が落ちているとは……


「この社は見せかけで御座いますね…
本来の目的を果たしてはおりません」

八つ……

外法の封印と共に、御所全体を守る八陣結界だったのではないか?

だとしたら、当時の陰陽師はなかなか考え手が込んでいる。


「…
御所の結界も危ういか‥」

とは言っても、朱雀様が結界を作る訳にもいかない…

あくまでも朱雀様と朱雀一族は"外"の者、精々言葉で示唆する事くらいしか出来ない、直接手は出せないのだ。

本来は人間に関わる事無く、一族を纏め、自然を見定め、裏の宿命を監視する。

朱雀様だけが例外……



「ともかく、外法に関する原因は分かった…
これ以上の手掛かりは無かろうて…
瑠衣部屋に戻るぞ」

「はい…」

朱雀様と瑠衣は、これ以上の収穫は無いとばかりに、元来た道を戻り始めた・・・




部屋に戻れば寝所が設えらており、端に焔が控えている。


「今日はご苦労だったのう、もう休むが良い」

「はっ、では私はこれで…」

焔は頭を垂れ、部屋を退出して行く。


「では主上私も……」

瑠衣が部屋を出ようとした時、朱雀様に腕を掴まれた。


「主上?」

首を傾げ朱雀様を見る…

「そなたは返しはせぬ…」

朱雀様は瑠衣の腕を引き、その唇に口付けをする…

「んっ…」

「先程の続きがまだだったのう…」

「主上…!!」


 "シャラン!!"


瑠衣は朱雀様に、豪華に設えてある寝所に押し倒された……
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