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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第25章 "帝"
朝ー
「主上、朝に御座います」
焔が朱雀様を起こしに上がった。
「あぁ………」
寝所からスルリと抜け出すが…
その寝所の中に、明け方まで責められ、まだ裸体のままぐったりとしている瑠衣の姿がある。
「!!…………」
焔は顔を赤くして、寝所から顔を背ける…
あまりにも艶めかしく、それでいて透き通る肌が綺麗で……
その間に朱雀様はさっさと着替え、焔に向かって来る。
「瑠衣はもう少し寝かせておけ…
焔、公卿の一人に合う予定だったの…」
「はい、もう少ししたらお着きになるかと…」
「我が一人で会う…
そなたは瑠衣が起きる気配があれば手伝え」
「分かりました」
朱雀様はそのまま部屋を出て行ってしまう…
「・・・・・・・・」
瑠衣を直視出来ない焔は、そのまま起こさないように、静かに部屋を出た・・・
「ん……」
瑠衣が目を覚めると、其処に朱雀様は居ない…
太陽の傾きからして昼に近い頃だろうか?
(昨日…)
ボーッとしながら、昨日の朱雀様との行為を思い出す。
(力は完全に回復しているが‥やり方ってものが…)
有り得ない行為に体が怠い、まさかあんな事をするとは、流石に考えていなかった…
だが、此処は御所内…
何時までも寝てる訳にもいかない。
「はぁ…」
とりあえず、内着の一枚を羽織り寝所から出る。
「瑠衣様、お目覚めですか?」
遠慮がちに焔の声が聞こえる。
「えぇ、起きています
焔、入って来ても大丈夫ですよ」
久々の作り笑顔を顔に張り付け、焔を部屋に呼ぶ。
「失礼します」
一礼を取って焔は部屋の中に入って来た…
その頃には、瑠衣はしっかり着替えを済ませている。
「焔、気を使わせて…」
多分に朝、朱雀様を起こしに来た筈、ならば寝所の自分の姿も……
「いぇ、瑠衣様が悪いのではありませんので…」
「・・・
主上はどちらに?」
「公卿とお会いになっております、主上は一人で良いと仰っておりました」
「そうですか…
では待つ事にします…」
「はい、では此方へ」
瑠衣と焔は隣の部屋に移動し、会談中の朱雀様を待つ事にした・・・
昼過ぎ、朱雀様が公卿との会談を終え、控えの間に戻って来た。
「主上、お疲れ様で御座いました」
瑠衣と焔は作法通りに、下座で朱雀様を迎え入れる。