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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第25章 "帝"
御所に入る前に飛んだ公卿の屋敷で、元の服に着替え、屋敷を出る。
そのまま屯所に戻るつもりだ、ただ…
(どうやって説明しよう…)
土方達は何とかなる…
問題は総司だ。
感が良い総司の事、必ず何かに気づくだろう…
そうなったら自分は誤魔化すのか、本当の事を言うのか?
御上との話までは良い、問題はその後の事。
あんな‥事……
恥ずかしいやら、情けないやらで言いたくない…
それに言えば言ったで…
(あーっ!!
当代様の馬鹿野郎っ!!)
口には出せないので、心の中で叫ぶ瑠衣・・・
兎に角、重い気持ちを乗せて、屯所へと道をトボトボと歩いた・・・・・
屯所に戻り、警護から戻っているであろう、土方の部屋に真っ直ぐ向かう。
「副長、橘です、宜しいですか??」
「・・・・・あぁ・・・」
暫く間を置いて土方の声が聞こえる…
瑠衣は大きく息を吸い部屋に入った。
「…
申し訳ありません、只今戻りました…」
「あぁ…」
文机に向かい書類整理をしている土方、此方には振り向かない。
「副長……」
瑠衣も何と言葉を掛けたら良いか分からない…
暫くの沈黙が続く………
「橘…」
やっと土方が重く口を開いた。
「はい…」
「説明しろ」
瑠衣も重く口を開く。
「見た通りなんですが…
焔殿から繋ぎが来て、待ち合わせ場所に向かったら副長達が居て、其処に焔殿が現れ強制連行された…」
「では何故朱雀様と一緒だった…」
「そっちですか…
焔殿に無理やり朱雀様の同伴を頼まれて、輿に放り込まれたんですよ…
とりあえずお飾りという条件付きですが…」
「中の様子を見たのか?」
「…
一応は……
しかし話の進展などは、自分から見て無かったです、ただお互いを牽制している様に見えました」
「他は?」
「朱雀様が一件、公卿と会談したようですが、自分は置いて行かれたので内容は知りません、後は与えられた部屋でずっと待機でした」
「そうか…
朱雀様のやる事に口は挟めない、今回は橘は使いに出した…
そう言う事にしている、分かったな」
「はい、ご迷惑お掛けして申し訳ありませんでした」
「あぁ…」
「では失礼します」
瑠衣はこれ以上突っ込まれたく無い為、素早く土方の部屋を出た・・・